2話(5)

 「は、入るって……」

 

 「花瀬さん、入ってくれるの!?」


 ありすの一言に、鈴木先輩は目を輝かせている。


 「うん!」


 「え、花瀬先輩、入るの!?」


 「や、やった~! 今年だけで新入部員として、三人目! しかも、二年生だから来年の部長も……」


 「はいはーい! 私、花瀬先輩と仲良くなりたい!」


 「うんうん! 他学年と交流するのはいいことだよ! 私も花瀬さんと仲良くなりたいし……」


 「駄目だ」


 「え?」


 ノリノリな鈴木先輩と樹理ちゃんの間に、鬼龍院先輩は割って入る。


 「鬼龍院、それはあなたの意見でしょ? これに関しては、部長の私に権限があると思う」


 「おまえが新入部員が欲しいのはわかった。でも、こいつ新聞書く気ないだろ」


 うぅ……これは、どっちも正論かも。

 たしかに、権限は部長の鈴木先輩にあるけど、ありすに新聞を書く気がないのは私もそう思うもん。


 「部員の数だけ増えても、書かないんじゃ意味がない。しかもこいつ、うるせえし。だから俺は断固反対」


 鬼龍院先輩が鈴木先輩に追い討ちをかける。


 「で、でも! もしかしたら花瀬さん、新聞書くのに興味があるかもしれないし……」


 「んー、興味ない」


 「うぐ……」


 最後にありすは鈴木先輩にとどめをさした。興味がないんじゃ、入っても意味ないよね……。


 これ以上話が続くと先輩たちに迷惑がかかりそうだから、私がビシッとありすに言わなきゃね。


 「ありす、家隣なんだから会おうと思えばいつでも会えるでしょ! だから、気まぐれで色々言うのはやめよう」


 ありすはちょっと変わったところがあるけど、これくらい言えばわかってくれるでしょ!

 

「やだ」


 そう思っていたのに、ありすから返ってきた答えはまるで真反対のものだった。

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