2話(4)

 「ちょっと、ありす……!」


 ありすは昔からほわほわした性格で、ちょっと天然な部分がある。

 だから、物怖じしないタイプなんだけど……。


 「ちょっと、人に向かって指差しちゃ駄目でしょ!!」


 「えー。だって、この人失礼じゃん」


 あわあわする私を無視してありすは続ける。


 「で、この人、先輩なの?」


 「鬼龍院は3年生だから、花瀬さんの一個上だね」


 鈴木先輩が優しくありすに答える。先輩、やっぱり優しいなぁ


 「私、この人嫌い。しょこらちゃん、こんな人がいる部活なんてやめて私と遊ぼうよ」


 ありすは私の手をぎゅと握る。

 そんなこと言っちゃったら鬼龍院先輩が……。

 

 私はおずおずと鬼龍院先輩の方を見る。すると、先輩は気にせずパソコン作業をしている。


 怒ってなくてよかった……。

 そう思っていると、鬼龍院先輩はこう言った。

 

 「小豆沢は、新聞部に必要だから」


 えっ……!?

 まさかの返答に、私はびっくり。だって、いつもあんな感じなんだもん。

 新聞部員として必要な存在になれてることが、なんだか嬉しくてじーんとしてしまう。


 「妖怪に触れる奴なんて、そうそういないからな」


 って、うーん……。

 新聞部員としてじゃなくて、妖怪を調べてる鬼龍院先輩にとって好都合ってこと……だよね?感動して損したかも……。


 「ふーん……。なんだかよく知らないけど、しょこらちゃんのことくれないんだね」


 ありすは俯く。


 「じゃあ、私も新聞部入る」


 「え?」


 まさかの一言に、みんなあんぐり。


 「私も新聞部に入れば、問題ないよね 」


 みんなが呆然としてるなか、ありすはとびっきりの笑顔を見せていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る