1話(4)
「最後のあれさ……なんだったのかな?」
「正直妖怪とかガチでやってたら引くわ~」
部活紹介が終わり教室にもどる最中、新入生の間では新聞部の話題で持ちきりだった。
後ろの人も前の人も、新聞部のことを話している。
そんな中、樹理ちゃんは俯いていて、なんだか元気がないみたいに見えた。
「樹理ちゃん、大丈夫?」
どうしたのかなぁ、心配。
「あ……うん! 大丈夫だよ! ありがとう、翔子ちゃん!」
樹理ちゃんはほら! とガッツポーズをして見せた。元気がなく見えたのは気のせいだったのかな?
でも、元気ならよかった!
「そういえば、樹理ちゃんはどこか気になる部活はあった?」
「うーん……。今のところはバスケ部とかかなぁ」
バスケ部かあ。なんだか樹理ちゃんっぽいかも!
ユニフォームを着てドリブルをする樹理ちゃんを思い浮かべる。うん、すごく似合う!
「あ、あとさ……。あの……」
樹理ちゃんはなんだか申し訳なさそうにこっちを向く。一体、どうしたんだろう。
「新聞部……一緒に仮入部行こうって言ったけど、やっぱ無理かも……。ごめん!」
なんだ、そんなことかあ。
「全然大丈夫だよ!」
ちょっと残念だけど、仮入部は一人でも行けるしね!
「ありがとう! ごめんね」
正直、新聞部があんな感じだなんて、私もちょっと……、いや、かなりびっくりした。
私が思ってた雰囲気の部活とは全く正反対なんだもん。
でも、私が新聞部に入りたいっていう気持ちは変わらなかった。
なんてったって、プロジェクターに映し出された学校新聞の文章が、とーっても素敵だったから!!
まあ、内容は、妖怪ばっかりなんだけどね……。
私は、金髪の先輩が出てきてみんながざわざわしてるときもずっと新聞を読んでいたの。上から下まで、全部ね!
もう素敵な文章に惚れ惚れしちゃった。
だから、絶対に仮入部に行くって決めたんだ! 明日の仮入部で、あの新聞の文章を誰が書いたか聞いてみよう。
それと、文章の書き方も教えて欲しいし、あと……。
色々考えていると、樹理ちゃんがこっちを見てニッと笑う。
「翔子ちゃん、すごく楽しそうな顔してる!」
私って、結構顔に出るタイプなのかも……!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます