1話(2)
「あ、おはよう! えっと、これはね、チョコ食べてるんだ!」
まさかいきなり話しかけられるとは思わなかったから、とってもびっくり。
「へ~! 美味しそう!チョコ、好きなの?」
「う、うん!」
「そうだ、自己紹介まだだったね! 私、麻葉羅樹理! 樹理って読んで!」
その子はそう言って、今度は首をかしげてこう聞いてきた。
「君はなんて名前なの?」
「えっと、私は、小豆沢 翔子!」
「翔子ちゃん、ね! 席近いし、仲良くしよ!」
樹理ちゃんはそう言ってニッと笑う。高校生になって初めての友達は、とびっきりの笑顔が可愛い女の子だ。
*
そのあと、HRまでまだ時間があったから樹理ちゃんとお話しすることにした。
樹理ちゃんは、遠くから高校に通っていること。だから、この高校に知り合いがいなくて、友達ができるか不安だったと話してくれた。
樹理ちゃんはとっても明るくてフレンドリーな印象だったから、そのことを聞いて私は少し驚いた。
キーンコーンカーンコーン
そんな話をしていると、HRのチャイムが鳴った。
そのチャイムと同時に、ガラガラと教室のドアを開け、先生が入ってくる。
「新入生のみなさん、入学おめでとう!」
先生は教壇に立ってそう言った。
私はその一言を聞き、自分が高校生になったのだと改めて実感する。
「中学校と比べて、勉強も難しくなるし、大変なこともきっと増えると思います。ですが、それよりももっとたくさんの楽しい思い出を、この文樫高校でつくってくださいね!」
楽しい思い出……かぁ。
私は、窓に大きく映った空を見上げた。
清々しい青に染まった空に、太陽がサンサンと照り輝いている。
それを見て、この学校で楽しい思い出をたくさん作れそうな気がする。そう思えた。
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