第18話
交渉を始めてから一週間、俺は市内の病院の一室にいた。
一応病室となっているが、おそらく別の用途に使われていた部屋だろう。
窓がはめ殺しで監視カメラ付き。部屋の外には常に二人の男。
言えばトイレには行かせてくれるが、扉には鍵がかかっている。
二人には会えていないが、テレパシーで話は出来る。
「イツキぃ、早く会いたいよぉ」
テニアは再会したら頭撫でてあげたい。ほんとかわいい奴だ。
「ダーリン、早くHしたいよお」
ヒルメイは・・・オマエに絶倫にされたせいで俺はムラムラがおさまらんのだけどな。
最初の時よりは我慢できているが、そろそろ限界だぞ。監視されながらシコるような趣味は俺には無い。
二人も病院にいる。俺には確認のしようが無かったが、ヒルメイによれば、俺と同じ病院の別の部屋だとのこと。
「それでヒルメイ、話はどの程度進んでるんだ?」
「テニアもわたしも、地球人じゃないのはわかってもらえたんだけどね、地球に来た理由をしつこく聞いてくるの。こっちもわからないって言ってるんだけど」
「そこは押し通すしか無いからなんともなぁ・・・テニアは?」
「来たくて来たんじゃないってずっと言ってるよ?イツキはどう?」
「同じことの繰り返し。毎日採血とかして、その後は二人が転移してきたのはいつとか、二人にあやしいところは無かったかとか聞かれてる。無ぇっちゅうの!いい加減二人に会いたいよ」
「早く会えるように頑張るからぁ」
「絶倫になってるから限界は近いぞ?」
「イツキの会いたい理由ってそっちなのぉ?」
「も、もちろんそれだけじゃないぞ!愛する二人に会いたいのは当たり前じゃないか!」
「ほんとかなぁ?」
その時扉がノックされた。
「誰か来た。また後でな。ヒルメイも」
「どうも長谷川さん」
来たのは牧村だ。いつもなら刑事がもう一人来るはずだが?
「お二人が異世界人かどうかは今の時点ではわかりませんが、人間でないのは検査の結果でわかりました。」
「テニアはともかく、ヒルメイみたいなこと出来る人間なんていませんからね」
何をされてどんな話をしたかはテレパシーで聞いているが、知らないふりで話す。
「ヒルメイさんにはいろいろと見せてもらいました。彼女ならいつでもここから出られたでしょうね」
二人とも出れるけどね、転移で。
「それでも逃げ出さずにここにいる。検査にも協力的でした。
検査結果などから、人や環境に悪い影響は無く、悪意も無いと判断されました」
「よかったぁ。今後はどうなります?」
「帰っていただいてかまいません。ただ、より詳しい検査をしたいとのことなので、お二人にはまた来てもらうことになります。
長谷川さんも、またお話を聞くことがあるかもしれません。その時はよろしくお願いします。
ではお二人を連れてきますので、着替えて待っていてください」
少しして牧村と女性刑事?が、巫女服の二人を連れてきた。
「イツキ!」
「ダーリン!」
二人に抱き着かれる。
「よかったな、ふたりとも」
何か言いたいのだろうが、泣いていて言葉になっていない。
俺もちょっと泣きそうになったが、牧村たちもいるので我慢だ。
「では、我々が家までお送りします」
牧村、女性刑事?、俺達の5人で地下駐車場の車へ。この車覆面パトカーだな。
帰りの車中、助手席の女性が言う。
「長谷川さんは初めましてですね。○○東署の光森です。今後牧村共々、時々お会いすることになると思いますのでよろしくお願いします。
テニアさんとヒルメイさんですが、まだお二人には戸籍がありません。戸籍が出来るまでは外出は控えていただきたいんです。就籍という、無戸籍の方を戸籍に記載する手続きがあるので、それで戸籍を取得することになります。本来時間がかかるのですが、特例で手続きしますのでそれほどはかからないかと。家裁や区役所の手続きもこちらで行います」
「なんとお礼を言えばいいか。本当にありがとうございます」
ヒルメイらしくない言葉使いだが、同時にテレパシーで早くHしたいとかアハンウフンとか送ってくるのはヤメロ。
「それと皆さんは警護の対象になります。テニアさんとヒルメイさんのことは公にはしない方針ですが、どこから話が漏れるかわかりませんので。」
それはちょっと面倒だな。
「戸籍ができてもあまり自由は無いってことですか?」
「基本的に自由に行動してかまいませんが、常に目立たないように警護を行うことになります。旅行などに行く場合は、こちらにも予定を知らせていただくと助かります。四六時中、周辺に警護の者がいるのは息苦しいかもしれませんがご理解ください」
「仕方がありませんわ。こちらも可能な限り協力いたします」
だからHなテレパシーはやめろヒルメイ!
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