第17話



7日間アテニアにいるはずだったが、身体の違和感は無いしHしちゃったし俺の魔法もそこそこ使えるのがわかったので、地球のわが家へ帰宅。


「それじゃ主にわたしが交渉するってことでいいわね?テニアは最初の想定よりは日本語話せるようにしても大丈夫だと思うわ。森カ〇オペぐらいでいきましょう。聞かれたこと以外は、ダーリンが好きってことをアピールしときなさい。ダーリンは転移から交渉当日までの流れをさっきの打ち合わせ通りにお願い」

「ヒルメイにばかり負担かかっちゃうけどゴメンね」

「ま、アテニアのコンピュータなら最適な受け答え出来るからね」

「それでいつ行く?」

「まだ昼前だし早い方いいでしょ?今から。問題ある?」

「いや?俺も早い方がいい」

「わたしも。早くイツキと結婚したいもん」

「(笑) じゃあすぐ行こう」


「とにかく彼女たち困ってるので、話聞いてあげてくれませんか?」

交番で話す俺。困っている外国人を連れてきた風を装う。

彼女たちの服装は、現れたときに着ていた青い巫女服だ。

「パスポートか外国人登録証はお持ちですか?」

「いいえ、持ってません」

やはり見た目で外国人と判断したようだが、これは想定内。

少し話して、不法滞在の可能性ありと判断されたようだ。パトカーで警察署へ行くことになった。ここまでは異世界人だとは話していない。

どこで変身を見せるかはヒルメイ次第だが、警官以外には見られたくない。取調室のような場所が一番いいだろう。

最初の俺の役目はここまで。彼女たちが異世界人なのを話すまで俺の出番は無い。



帰宅して一人で昼食。

まだ一緒に暮らし始めて間もないのに、二人がいないのがすごく寂しい。


正直失敗して、どこか他の世界で暮らすことになったとしても構わないと思っている。

今も戦争をやったり、なにかと理由をつけて他人を差別したりするようなクソもいるけど、困っている人に手を差し伸べてくれる人もいる。そんなこの地球が好きではあるが、どうせこの地球には、俺がいなくなって悲しむ人なんていないから。

だから俺はテニアとヒルメイだけがいてくれればそれでいいんだ。

昔はこうじゃなかったんだけどなぁ。



おそらく今日は何も無いだろうと思っていた。


インターフォンが鳴った。

「○○東署の牧村と申します。テニアさんとヒルメイさんのことで聞きたいことがありまして」

「少々お待ちください」

意外と早かったな。

「長谷川イツキさんで間違いないですね?少々お話をお聞きしたいのですが・・・」

「いいですよ。まあどうぞ」

牧村ともう一人、刑事を家に入れる。おそらく彼女たちの部屋などを見たいだろうからだ。こちらは可能な限り協力して、敵意が無いことをわかってもらうようにする。

「彼女たちの部屋見ますか?」

「彼女たちのことは知っていたのですね?」

「はい」

「ヒルメイさんのアレも?」

「変身ですか?知ってました」

「なぜ彼女たちに協力を?」

「困ってましたからね、ほっとけないですよ。少しの間一緒に暮らしましたけれど、本当に彼女たちに敵意は無いと思いますよ。」

「それはわたしには判断できません。後々上の者がするでしょう。それで事が事なので令状を取る暇も惜しいのです。家宅捜索にご協力いただきたい」

「かまいません、最初からそのつもりでした。家じゅう好きに見てくれていいです。けど、何も見つからないと思います。あるのはこちらに来てから俺が買ってあげた物だけです。現れた時、二人とも何も持って無かったですから。」

「彼女たちもそのように言っていましたが、ウチとしてもハイそうですか、とはいかないのです。申し訳ありませんが・・・」

「どうぞどうぞ」

「では・・・おい」

もう一人の刑事がどこかに連絡すると、外で待機していたのだろう、すぐに結構な人数の刑事たちが入ってきた。

「彼女たちはどうなりますか?」

「それを決めるのは、我々よりずっと上の人間でしょうな」

「この後俺は?」

「署で彼女たちが現れた時のことや、こちらでの暮らしぶりなどをお聞きすることになるでしょう。その後いろいろな検査を受けていただきます。何かの病気に感染していないか?洗脳はされていないか?それと・・・本物の長谷川イツキさんなのか?」

「まあそうなると覚悟はしてましたので。でも俺は本当に長谷川イツキですよ?(笑)」

「それを判断するのも私たちではないのですよ」


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