第16話



練習場所は見た感じ山を切り崩したような場所。


「ここなら人も来ないし、町や村からもだいぶ離れてるから、多少大きな音立てても大丈夫よ。さ、やってみてダーリン」

「イツキの初めての魔法(ホントは違う)楽しみー!」

「それじゃ・・・へんーしん、トウッ!」

「え?」

「はい?」

「おーすげー!!ホントに変身した!!!」

「ダーリン・・・普通は初めてってファイアーボールとかじゃないのぉ?」

「イツキ、わたし魔法でこんなこと出来るって初めて知ったぁ!!」

「いやあ、この場所見たら子供の頃見てたTV思い出してつい。しかしこんなことも出来るんだな!」

「こんな使い方普通は思いつかないよぉ?」

「すまん、斜め上は日本の国民性だ」


ヒルメイにはなんかあきれられたが、テニアはキラッキラの目で見てくれた。今晩はテニアをいっぱいかわいがってあげよう。


変身を解除する。これ頑張ればガ〇ダムやバ〇キリーも出せるんじゃね?


「じゃあ真面目にやってみっか」

「最初は弱めにね?」

「おっけ。そんじゃあファイアーボール!!」

右手のひらを前に向けて、手のひらから火球を出すイメージ。

ドヒュッって音がして、手のひらからこぶし大の火が前にある崖に向かって飛び出した。

「もういっちょ!」

左手で。詠唱無しでもいけるな。ほんとの魔法じゃないから詠唱はハナッからいらんか。両手を使い連発で。

「オラオラオラオラオラァッ!!」

おもしれー!!

「すとっぷぅ!あきれちゃうわね。普通最初からこんなに使えないよぉ?」

「すごいよイツキ!」

「多分日本のアニメよく見てる人なら誰でも出来るんじゃねぇかな?アニメでこんな感じの能力結構出てくるから。漫画でも多いけど、アニメだと動くだろ?だからイメージしやすいんだ」

「なるほどねぇ、今度アニメの鑑賞会しなきゃだわね」

「だね!わたしもいろんな技おぼえよっと」

「他には何か出来る?」

「そうだなあ・・・・かー〇ーはーめー・・・波っ!」

おー、アニメ通りだぜぃ!

「弱めでって言ったのにぃ!!」

あ、崖ぶちぬいたわ。

「ヒルメイ、あの方向に町とか・・・」

「無いから安心して。一応方角考えておいてよかったわぁ。ダーリン、もういいわ。戻って別な訓練しましょ?」

もういいのは、十分使えるからか?コイツあぶねーって思われたのか?


「さっきの変身ヒーローってどんなイメージしたの?」

「あれ?着ぐるみだけど?」

「でしょうね。自分の姿を変えることは出来ないようになってるのよ。でもちょっとびっくりしたわ」

「本当の意味での変身は無理なのか?」

「そっちよりも身体の保護が優先されちゃうからね」

「そうか。さっきのは俺が物を出したってことになるわけだな」

「そうね。あんなの出せるくらい詳細に覚えてたのね、ダーリンは」

「大好きだったからな。そうか物出すにも詳細がわかってる方がイメージしやすいもんな」

「そうね。でも生き物は無理よ。生き物の外見で素材を変えて出すのなら出来るわね」

「ほう?ちょっとやってみる」

(素材はプラスチックにして、塗装は・・・)

「ほいっ」

現れたのは裸のテニアの等身大フィギュア。

「なんでわたしの裸なのよ!」

「身体中詳しく覚えてるから?」

「恥ずかしいってばぁ、バカ!」

「ゴメンゴメン(笑) でも似てたろ?」

フィギュアを消去。

「わたしの身体って、イツキにあんな詳細に覚えられちゃってたんだ・・・」

テニアならこれでエロいこと考えるはず。今晩が楽しみだぜぃっ!


「物を出すのも大丈夫ね。説明する前に変身ヒーロー出すくらいだし。あとはコピーかしらね?これは御神体でスキャンして出すだけ。簡単でしょ?」


交渉がスムーズに進めば、俺が魔法を使うことは無いだろうが、これで何かあっても対処しやすくはなる。

交渉、うまくいくといいけど。


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