第9話
結局押し切られてあっち式でいくことになりましたっす。
イヤじゃない、嫌じゃないんすよ。男なら誰だってそうだと思う。でもやっぱりこれでいいのかなあって思いはある。
まあいっか。気にしても仕方ない。二人が問題無く暮らせるようにがんばろう。でも何をどうすればいいやら。
今日は二人に起こされた。
「おはよ、イツキ」
とテニア。
「ダーリンおはよー!!」
朝から元気なヒルメイ。
「ダーリンはやめて」
「イヤだった?じゃあイツキくんおはよ!!」
「くんもやめて。俺の方が年下なのはわかるけど」
「難しい年頃なのね。じゃあイツキ、おはよ」
うん、テニアとはまた別なかわいさがあるよね、ヒルメイ。
今日の朝食はご飯と納豆…は俺だけで、二人は海苔。
「イツキ、よくそんなの食べれるよね?」
「人の食べるものじゃないよぉ」
予想はしてたけどね。
因みにあっちにも米はあるそうだ。ただ日本のと違ってタイ米みたいな少し長いやつ。
この後歯磨きは入念にやらされた。
本日の食後はヒルメイへの質問タイムだ。
「質問の前になんだけど、俺達あっちの世界、こっちの世界って言ってるじゃん?名前つけた方が話しやすいんじゃないかと思って。」
「そうだねー。こっちは地球でいいんじゃない?あっちはどうしようか?」
「アテニア・・・だとかぶっちゃうね。アテニアンは?地球的にはアテニアの人みたいな意味になっちゃうけど呼びやすくない?」
「テニアのでいいかな?てかヒルメイ名前つけてないの?」
「システム的には番号だけで事足りるし、異世界と行き来しなければ、ただ『世界』としか言わないでしょ?」
「言われてみれば地球でもそうか。じゃあこれからは『アテニアン』ってことで」
うちら3人しか使わないんだから、呼びやすければいいか。
「じゃあ質問を受けつけまーす!」
「イツキ?」
テニアが俺に振る。
「おっけ。ヒルメイは自我とか感情とかあるようだけど、実際のとこなんなの?」
「異世界管理システム『アテニア』 高度AIってとこね。システムにはそれぞれ名前があるの。地球のは・・・わかるよね?」
「あの宗教の・・・だね?」
「そうよ。わたしたちってよく神様扱いされるから、その場合、宗教を管理に利用することが多いわ」
「目的は?」
「わかんない」
「知らないでやってるの?」
「命令からある程度想像できなくはないけどね。わたしたちが受けている命令は、『その世界に文明を興す』『文明を発展させる』『情報を集める』『命令があれば帰還する』」
「創造主・・・誰が自分たちを造ったかはわからないんだっけ?」
「わからない。帰還先も今はわからない。命令を遂行しながら、どこかにデータを送っているだけ。多分収集したデータの量が目的に達した場合、もしくは何か特別なデータが得られた場合に帰還命令が来て、それを受信すれば帰還場所がわかるようになっているのだと思うわ。自分でも解析できない、目的のわからない部分が結構あるのよ、システム内に」
「今はアテニアンの管理はどうしてるの?」
「しばらくの間、多分数百年はこちらからは干渉しない予定。ドローンなんかで監視は続けてる」
「ヒルメイがこっちにいても?」
「人型端末だからね。体がここにあって、脳がアテニアンにあるって言えばわかりやすいかな?今も同時並行で監視もやってるよ」
「人型端末は人間の体と同じ細胞の集まり?」
「違うわ。マイクロマシンの集合体。他の巫女と違って特別製。治癒を発動するまでもなく不老不死よ」
「じゃあ形もかえられる?」
「やってみせようか?」
そういうとヒルメイは一瞬でテニアの姿になった!次の瞬間は俺に!
「遺伝子いじって進化を促しても、わたしらにだってどんな姿の知的生命になるかわからないからね、こんな機能があるのよ。最初のが絶滅して、また別な形の生物が主役になることもあり得るし」
「すげぇ・・・・けど俺の姿でヒルメイの声は気持ち悪いから戻して」
「フフッ、これでいい?じゃあ次の質問は何?ダーリン」
「ダーリンやめろって(笑) 同じようなシステムは各世界に一機だけ?ほら、この世界、宇宙ってたくさんの星があるよね?その気になればいくつでも管理できるんじゃないかと思うんだけど?」
「基本は一機だけよ。わたしたちがその世界に介入を始めるのは、その世界にまだ知的生命がいないときだけなの。初期に他の文明からの干渉を避けるため。ある程度発展してからなら、別な文明興してぶつけたり、自然に興った文明と交流させたりしてるシステムもあるみたい。
地球なんかは例外。これだけ宇宙が広ければ、他の文明に出会う確率はほとんど無いもの、ダーリンの考え通りで、いくつかのシステムが稼働してるわ。銀河の反対側とか、他の星雲、アンドロメダとかにいるんじゃない?」
「アテニアンは?」
「見た目地球そっくりだけど、あそこの宇宙、狭いのよ。太陽系の150倍ってとこかしら?テニア?地球で夜空見たことある?」
「え?まだ無いけど?」
「今度見てごらんなさい?アテニアンとは比べ物にならない星の数だから」
「そんな宇宙じゃ、発展させたら行き場が無くて詰むんじゃないのか?」
「わたしはそれをどう打開していくかが知りたいの。うまく発展すれば異世界転移くらいするようになるかもしれないわ」
「詰んだらヒルメイが異世界に転移させて、そこから続きをやらせたりも?」
「それもアリね。やり方は各AIに任されているから」
「システムAIに性別があるのは何故?AIの性別による発展の違いなんかもデータとってるから?」
「そう。だからこのシステムは無限にある世界で、無限のやり方を試しているってわけ。お婿さん探し大変だったのよ?システムの数多すぎて」
「もうその話はいいからぁ・・・・」
「冗談よ。候補はいっぱいいたけど、順にコピーして12番目でダーリン・・・イツキくん見つけちゃったしね」
「アテニアンの二つの大陸、それ以外の場所はどうなってるかわかってないってテニア言ってたけど、ほんとはわかってるんだよね?」
「うん。無いの、海しか」
やっぱりそうか
「ダー・・・イツキってさ、こーゆー話だと結構鋭かったりする?」
「好きなんだよ、こーゆーの。あーアタマ疲れたわ、今日はもういいかな?おなかいっぱいだぁ」
「なにそれ(笑) じゃあまた聞きたいことあったらいつでも言ってね、ダーリン」
「だからそれはヤメテ(笑) ベッド三人じゃ狭いから、デカいの買いにいこうぜ。あと車。今二人乗りのしか無いから」
「狭いとくっつけるからあれでいいよぉ・・・」
「・・・ヒルメイは?」
「わたしもー!」
「そっか。実は俺も嫌じゃないんだけどさ。じゃあ車!」
「あと服もー!テニアのは胸がきついの!」
「ヒルメイー!!」
ヒルメイが来てどうなるかと思ったが、楽しくやれている。てかマジ楽しい!
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