第4話
買い物.
金は俺が出す。
彼女がこっちの金持ってるわけないもんね。
「申し訳ありません。働けるようになったら必ず返しますので」
助手席ですまなそうに言う彼女。
「気にしなくていいですよ。俺、お金はかなり余裕あるし、オカルト趣味の延長みたいなもんだし」
「趣味なんですかぁ?人として見てくれてないんだぁ」
かぁとかだぁとか!こんな小文字の使い方までおぼえおって!
でもテニアさん、こんな一面もあるんだな。かわいい。
「見てますよ!異世界の事知りたいってのが趣味の延長。テニアさんを人として見てないわけじゃないからね?」
「ほんとですかぁ?」
「ほんとですぅ」
最近ずっと誰とも会ってなかったから、誰かとこんなやり取りするのがすごく楽しい。
ましてやこんな美人が相手だし。普通の人ではないけれど。
「そういやなんで異世界行こうって思ったんですか?」
家族や友達のことも聞いてみたいが、もしかしたら帰れないとか?だとすると聞かない方がいいか?
「あぁ・・・・あとでもいいですか?ちょっと言いにくいといいますか決心がまだといいますかハズかしいといいますか・・・・」
「話したくないならそれでもかまわないですけど?」
「いえ!むしろ聞いていただきたいんです・・・・です・・・けど・・・・ちょっと・・・・恥ずかしい・・・・・」
「?? じゃあ話せる時でいいので」
「すみません。別にトラックに轢かれたわけでも勇者召喚に巻き込まれたわけでもないですからね?」
彼女がここでこんな冗談言うと思ってなかったからツボに入って大笑い。
コピーの知識使いこなしてんなあ(笑)
しかし異世界に行くのに恥ずかしいことって何だろう?
街中のパーキングに車とめて繁華街へ。
ゴールデンウィークだからか人多い。
連休なんだから旅行にでも行けばいいのに。
「イツキさぁん・・・」
「はい?」
あっちじゃこんな人込み無いのかもな。
圧倒されちゃった?
「人が多くてはぐれそうなので手をつないでもいいですかぁ?」
待って待って!
こんな美人で若い娘と手ぇつないで街歩くとか恥ずかしいんだけど!
愛人連れたオッサンみたいやん!
「だめですかぁ?」
「・・・・・はい」
左手を差し出す俺。
上目遣いはズルい。
で、服屋です。
おっちゃんに今どきの若い女性の好みなんてわからん。
店員さん任せで、テニアさんがそこから選ぶ感じ。
高いの買わされそうだけど、変な服じゃなけりゃよしとする。
モデル体型で無茶苦茶美人な彼女ならよほど変な服でもそれなりに着こなしてしまいそうなんだが。
「イツキさーん、これとこれ、どっちが似合うと思います?」
「俺には女性の服はわかんないですよ。というかテニアさんならどれ着ても似合うと思います」
「イツキさんの好みも知っておきたいんですけどぉ?」
俺の好み知ってどうするの?そしてどぉ?がクソかわいい。
「・・・じゃあこれで」
絶対顔赤くなってるな、俺。
「なんかテキトーじゃないですかぁ?」
かぁ?じゃねーよ。かわいいからヤメレ。
「・・・・ソンナコトハナイヨ?」
恥ずかしいから早く店出たい!
「ありがとうございましたー!」
結構な数の服を買ったため、一度車に置きに行く。
荷物を持つってことで手はつながずにすんだ。
今日の車はロードスターである。
「イツキさんの車ってどっちも二人しか乗れないんですね」
「たまたまですよ。俺がほしい車がそうだったってだけで」
「子供出来たらもう一台買うんですか?」
子供ねぇ。何かが違えばそんな人生もあったのかもね。
「ガレージ広いからおけますけどね。今更結婚は考えてないですよ。もういい年だし」
「えー?まだまだ大丈夫ですよぉ。わたしが保証します」
お世辞でもちょっと嬉しい。
「保証って(笑) じゃあ俺と結婚できます?」
「・・・・・できます・・・よ?」
いや冗談だからね!そっちの返しもそうじゃないの?なんで真っ赤になってんの!
「あーっと・・・・・・次どうします?」
多分また顔赤いわ俺。
「じゃあ・・・・その・・・・下着を・・・」
仕方ないよな!まだ俺しか知り合いいないんだから!
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