第3話
気絶してたのは2時間くらいだった。
純粋に気絶の時間なのか、コピーに必要な時間だったのかはわからん。
正直、警察とかに任せようかとも思った。
異世界人だよ?いやまだちょっとは疑ってるけど。
でもそれだとどんな扱いされるかって考えたらほっとけなくって。
頭がおかしい人って思われて精神病院行きとか、異世界人だと確定したらしたで人体実験とかさ。
だから警察や、異世界人も対象か知らんが入国管理局?に行くならある程度対策考えてからって思ったんだ。
当面俺が面倒みるからと話すとホッとしてた。
俺もずっと美人の泣き顔見なきゃならないかもと思ってたからホッとした。
面倒見るのは美人と一緒にいれるってことも多少はある・・・・いやかなりある。
けど心配なのも本当だ。だからとりあえず家に連れて帰ることにする。
帰り道。知識をコピーしていても、実際に目にすると違うのだろう。
車外の景色見てうわあーって顔してる。。
そうかと思えば思いつめたような顔。そして気が付くと俺の顔を見つめてる。
目が合うとうつむいて赤くなったり・・・・?
なんだろうこの反応は?
「ここが俺の家。風呂とかトイレとか使い方教えておかないとだね」
「コピーした中にあるので大抵は大丈夫かと。もちろん実際には初めてですので、わからなかったらお聞きますから教えてくださいね」
微笑む彼女・・・・かわいい。
「言語やこの世界のこと以外に、イツキさん自身のこともかなりコピーしちゃって・・・イヤですよね。ほんとにごめんなさい」
「もういいですよ、気にしないで」
と言いつつ、性癖とか知られてないかとちょっと気になる俺。
「でもすごいね、もう普通に話せるようになってる」
そう。彼女、家に帰ってくるまでの間に、日本語をほぼ完ぺきに話せるようになっていたのだ。
「初めての言語だったので、普通に話せるまで時間かかっちゃいました」
かかってないかかってない(笑)
「おなか空いてない?何か食べる?って、こっちの食べ物大丈夫かな?毒だったり栄養にならなかったりだとまずいよね?」
本当はもっと大きな問題がある。例えば身体にくっついて変な微生物とか有害生物の卵なんかがこの世界に持ち込まれてないか?とか。
本来ならこちらの世界に来た時点で隔離するべきなんだろうな。
「大丈夫です。条件設定しましたから」
「条件設定?」
「はい。転移可能な異世界を探すときに、双方の世界に大きな影響が無い世界を選ぶように条件を設定してあったんです。
食べ物についても、双方の人が相手の世界のを食べても大丈夫です」
もしかして彼女の故郷はすごく科学が進んでる世界なのか?
食事中にあちらの世界のことを聞いてみた。
やっぱり科学に関してはこっちの方が進んでる。
あちらの移動手段は徒歩、馬、馬車。船も帆船だって。
内燃機関どころか蒸気機関さえも無い。
魔法はある。でもほとんどの人は小さい火を出したり、水を凍らせる程度。
彼女の魔法はまだ見せてもらってないが、テレパシーのこともあるし、普通よりは強いと予想する。
家に風呂があるのは王族や金持ちくらいで、庶民は公衆浴場。
それも無いような村なんかでは水浴びやお湯で身体拭く程度だそうな。
「そういや着替えがないと困るよね。俺の服貸すよ」
そう、彼女は手ぶらでやってきた。
「大丈夫です。持ってきてますから。イツキさんの知識の、小説?やアニメ?に出てくるので、見たらわかると思いますよ」
言いながら、空中から服を出したテニアさん。
「これは収納とかアイテムボックスってやつか?」
異世界人ってことだけでも彼女をどうやったら日本で暮らせるようにできるか悩んでたのに、こんな能力知られたらCIAやKGBに追われる未来しか想像できんぞ。
「それ、俺以外の人がいる場所では絶対使っちゃ駄目だよ。もしかして他の生活用具も?」
「はい。いつ出発しても困らないように、ずっと入れてあったので持ってます」
出張多かったのかな?
「風呂だけど、石鹸やシャンプーは俺しかいないから男用のしか無いんだ。
こっちの服も必要だろうし、明日それと一緒に買いに行こう」
「シャンプー・・・髪の毛専用の石鹸があるのですね。それにこちらでは石鹸に男性用と女性用があるんですか?」
「匂いがね、違うんよ」
「イツキさんと同じ匂いならそれがいいんだけどな・・・」
風呂のお湯をためる音で、小声で呟いた彼女の声は俺に聞こえていなかった。
買い物行くにもこっちの世界の服の方いいかな?
俺の服しかないんだけどさ。
彼女細いけど、身長は173の俺よりちょっと低いだけだからいけるだろ。
コート?はコスプレみたいだから別のを着てもらうとして、ショーパンはこっちのと大差無いっぽい?
持ってきてる服を見せてもらって、あまり目立たない服にしてもらうのがいいかな?
明日は服買って・・・下着も?多分下着も収納してるだろうから当面は大丈夫か?
あー、生理用品とかどうなんだ?
いやその前にぱっと見こっちの人間と変わらないが、色々と違う可能性もあるな。
変な意味じゃなく、服の下がどうなってるかわからんぞ。
あっちの子作りって、女性が産んだ卵に男が精子ぶっかけるなんてこともあり得る。
いや男女が無い可能性も・・・キリがないから考えるのやめよう。
聞きにくい話もあるけど、聞かねばなるまいなあ。
普段通り6時頃に起きたんだが、彼女は既に起きていた。
「おはようございます」
俺のスウェット着てる。
寝間着的なのは収納してなかったらしい。
テニアさんちょっと抜けたとこある?
スウェット渡すとき、なんか嬉しそうだった。初めて着るこっちの服だったからな。
後に彼女は、普段寝るときはマッパだと知ることになるのだが。
「お世話になるので朝食くらいはと・・・勝手に台所お借りしてごめんなさい」
「いや全然かまわないんですけど、使い方大丈夫でした?」
「はい。あの・・・・・コピーで・・・・ごめんなさい」
今更だけどコピーすげえな。
「あー、コピーの事はもう全然気にしなくていいですよホント。じゃあ食材も?」
「あ、食材はあっちの世界と同じ物があったので。知識と照らし合わせて確認しました。簡単な調理なのでお口に合うかどうか・・・」
世界で初めて異世界の人が作った料理を食べることになった俺。
テーブルにあるのはトーストとハムエッグ。
こっちの材料だけど味付け違ったりする?
「美味しそう!いただきます!」
・・・・・・・フツーに見た目通りトーストとハムエッグだった。
「美味しくなかったですか?」
がっかり感が顔に出てたらしい。
「あ、美味しいですよ!ただ異世界の味を期待したらこっちと同じだったもので」
「じゃあ今度持ってきた食材使ってみましょうか?でもこちらと同じような食材ばかりなんですよ」
「そうなんですか?」
「はい。すごく似た世界みたいですね。私たちの世界って」
魔法あるだけでもかなり違うけどね。
ああ、あっちからすりゃ科学がそんな感じか。
文明にレベルの差はあるにしても、それなりに似てる世界か。
「検索条件が転移しても安全な世界でしたから、そのせいかも」
「条件って大雑把なんですね?」
「あ、いえ、もっと細かいんですけど、いくつもある条件を合わせたらそんな感じってことです」
あーなるほどね。
「服ってどのくらい持ってきてます?こっちの世界で着ても大丈夫そうなのありますか?買い物で着ていく服、目立たない方がいいですよね?」
「あの・・・出来れば貸していただければと思うんですが・・・?」
そんな申し訳なさそうにしなくても全然貸すのに。
「かまわないですよ。サイズ合いそうなの持ってきますから着てみてください」
下は足の長さから、俺が裾折って履いてたジーンズ一択。
上のサイズは大丈夫だろうから何着か持ってきて選んでもらった
彼女細いけど、サイズ大きい分には問題無いでしょ。
なんかルンルンって感じで着替えに行ったんだけど。そんなに異世界の服着るのが嬉しいのかな?
「靴はサイズ合うのがウチに無いから、テニアさんの履くしかないですけど、見た感じこちらとあまり変わりませんね」
「変じゃないですか?」
「全然!じゃあ行きましょうか」
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