確信

永久賞味期限

確信

男は、都市伝説や、オカルトなど、非現実的なことをこよなく愛した。


 雑誌やニュース、バライティ番組に出てくることを、フェイクニュースだとしても必ず信じていた。


 男には、一人の恋人がいた。


 男はその女性と趣味が合い、意気投合し、結婚した。


 二人はいつものように自分の好きなものについて語り合った。

 男は妻を愛していた。しかし、それ以上に都市伝説が好きだった。


 二人で街を歩いていると、一匹の子犬がいた。その子犬は、男が指を一本立てると、

「わん」と吠えた。

 次に、二本立てると、「わん、わん」と吠えた。

 さらに、三本立てると、「わん、わん、わん、」と吠えた


 男は、「この子犬は、輪廻転生したんだ。」と言った。


 また、ある日は、通りすがりの赤ん坊を見ると、「君は前世、何歳まで生きたんだい?」と聞いたりした。


 これまで何度か、動物を見ると、輪廻転生したんだね。と言っていたが、今回限りは、

 流石の妻も、苦笑いでそれを見ていた。


 ある日、男がいつものようにネットで都市伝説について調べていると、妻の容態が急変した。


 妻はすぐさま病院に搬送され、治療を受けた。

 すると、診断の結果、癌ということが判明した。


 医者には、余命一年と言われた。


 妻は泣き崩れ、夫は夜な夜な他の女と不倫をした。


 ついには、妻は死んだ。


 男は泣かなかった。


 そして、男は新しい女性を見つけ、子供を作った。子供が産まれると、男はその子どもにこう言った。「お前じゃない」


 そして、また次の子供にも、「違う」その次も、「違う」そのまた次も、その次も。


 ある日、男は突然泣き出した。そして男は全てを捨てた。

 妻も、家も、子供も、趣味さえも。


 そして男は自殺した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

確信 永久賞味期限 @syoumikigen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ