第3話 龍王登場

「ハッ、私は!?」


「ジャァァンヌッッ!」


「ワワッ、ごめんなさいぃぃ」


あの聖女また、見境なしに回復させやがった。

どうしてくれるんだ、勇者ピンピンしてるだろ


「なんだ?内側から力が溢れ出てくる。これなら、どんな敵にも勝てるぞ!」


しかも、ご丁寧に補助魔法かけてんじゃねぇよ。

ほぼほぼ敵だろコイツ。

コイツが毒飲まされた理由コレだろ、マジで。

だが、まずいぞ。

あの魔王様が勝てなかった勇者に俺が敵うはずがないし、それにジャンヌの魔法のせいで強化されている。

くっ、どうしても戦わなきゃいけないのか!?


「さぁ、いくぞ!魔王よ」


来るッ


バッッコォォォン  


「おい、最弱よ。腹が減った、俺にまた飯を作れ」

 

助かった。が、来てほしくなかった。

当たり前のように壁を壊してこっちまでやって来たこの人は龍王さん。この世界で最強の生物、龍の頂点に立つすごい方だ。

少し前に魔王様がちょっかいをかけて以来、魔王城にちょくちょく来ては俺の飯を要求してくる。人型になっているってことは、マジで飯食いに来ただけだな。

というか、魔王城に来るたびに壁壊して入ってくるのやめてほしいんだが、魔界の四分の一と比べたらマシだと思える俺は、疲れているんだと思う。


「ん?お取り込み中か、悪いが俺の方を優先させてもらうぞ、転移」


シュン 


あっ、勇者消えた。てか、しれっと失われた魔法使わないでくれますか龍王さん。 


「ありがとうございます、龍王さん。勇者はどこまで転移させたんですか?」 


「ン?まぁ始まりの村くらい?」 


勇者、なんかごめん。


「それよりも、飯だ飯!1ヶ月ほど寝ていたら腹が減った。前に言っていた、はぁんばぁぐ?とやらが食いたいぞ!」


「いや、私が作るのは良いですけど、毎回壁から来るのやめてもらえませんか?治すの大変なんですよ?」 


1日くらいで直せるけど、また壊れるんだろうなとか思いながら直すのは、正直キツい。


「そうじゃ、そうじゃ!毎回毎回我の部屋壊して入ってくるな!勇者でも扉開けてきたのじゃぞ」


魔王様が珍しく、まともなことを言っている。でも、俺は知ってますよ。壁が毎回壊されるたびに俺の部屋に来て、今日はここで寝るのじゃ!とか言って俺のベッドを占領することを


「俺は龍の王たるぞ?空も大地も全てが俺を縛ることなぞできん」


「何が縛ることなぞできん、じゃ。何も理解できていないトカゲなだけじゃろ。」 


「何だとちびっこ。貴様、灰にされたいのか?」


「ふんっ、我には四天王がいるのじゃ。最弱に負けたくせに偉そうな口聞くななのじゃ」  


「ぐぬぬ、いいか?貴様に負けたのではない。俺は最弱の料理に負けたのだ」 


「負けたことには変わりないじゃろw」 


これ以上はまずい、話をそらさねば! 


「りゅ、龍王さん!すぐにハンバーグができるので食堂に移動しませんか?龍王さんのために、とっても美味しいハンバーグを作りますよ!」 


「む、そうか!?楽しみにしておこう」 


「ハンバーグは最弱の得意料理の1つじゃ、まぁ、我は毎日のように食べておるがな、ハハハハ」 


「いや、魔王様はピーマン料理って先程申したはずですが?」  


「そ、そんな〜なのじゃ〜」













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