第7話 おふざけこそが、生きがいなのでござる!

 あたくしと、カンナや、他の聖女たちも、水着で挑んだけれど、第一試験で落ちてしまった。


「頼むから、もう一回チャンスをくれるでござるか?」


「あーしからも、お願いしますなのですわ」


 あたくしとカンナの二人で、司会者にお願いをしたのだけど、


「悪いけど、これは決まったことなんです。


それを、変えることはできないです」


「そんななのでござる。


何が、悪かったでござるか?」


「申し訳ないけど、水着の第一段階で、受けがよくないと、突破できないんだ」


「納得できませんわ!


どうしてくれるんですか?」


「こればっかりは・・・・、申し訳ありません。


聖女討伐戦は、わたくしの先祖の代から伝わるものでして、それを覆すことなんてできないんです」


「そうなのでござるか。


たしかに、ご先祖様の代から、引き継いできたものを変えることは、申し分ないことでござるな」


「氷雨!?」


 カンナは、納得がいかなそうだけど、あたくしは仕方がないと断念せざるをえないようにも感じた。


 今から決まったことなら、文句次第で変えられるかもしれない。

 だけど、ご先祖様のこととなると、話が変わってくる。

 今、ここでルールを変えてしまうと、後々が厄介なことになってくる。


「あーしは、聖女としての人生をまっとうするために、頑張ってきました。


頑張って、頑張って、頑張って、何をどうしていいのかわからなかたのですわ!」


「頑張っていたか、迷っていたか、どっちなのかはっきりしてくれませんか?」


 司会者が、ツッコミを入れた。


「とにかく、聖女としての道はないから・・・・」


 この言葉は、絶望でしかない。

 今まで、聖女になるために頑張ってきた理由が、何だったのかわからなくなってしまった。


「おふざけこそが、生きがいなのでござる・・・・!」


「氷雨、どうしたのですか?」


 カンナにしては、珍しく心配している様子だった。

 だけど、あたくしは、そんなことにかまっている様子はない。


「あたくしは、今まで頑張ってきたのでござるよ。


これからも、今日も、こうして・・・・・」


 あたくしは、言葉につまっていた。

 本当にやりたいことを見つけられても、それが不可能だと否定されたことが、言葉にできないくらいの絶望的な気持ちでしかなくて。


「あたくし、鈴木氷雨は、何も果たせなかったでござるが、でも、これは負けではないのでござる」


「氷雨?


どういう意味か、わかっているのですか?


聖女になる道は、なくなったのですわ」


「なくなっていないでござるよ。


自分で、聖女だと思えば、立派な聖女なのでござる・・・・」

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