第11話狂おしいほど愛してるパート1
私は優吾さんの後をこっそりと付けてきていた。彼がいつも何処から帰るのか、家はどの辺にあるのかが気になっていたから。
目の前に居る優吾さんは少し怖がっているみたいだった。電車の中で何かされたのだろうか?そうだとすると許せない。
「優吾さん、私は将来優吾さんと付き合うつもりです。そしたら結婚しましょう。子供の名前も既に決めていますよ。私は優吾さんと添い遂げたいですから。」
私は優吾さんに愛の言葉を伝えた。私は彼を愛している。誰よりも愛している。彼以外の人間に興味なんてない。他人がどうなろうが私の知ったことではない。私が愛しているのは優吾さんだけなのだから。
「優吾さん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?誰かに何かされましたか?」
私が尋ねると優吾さんは少し考え事をして
「大丈夫だよ。何も無いから。」
とだけ答えた。少し戸惑っている表情。間違いない。彼は私に嘘を付いている。
「優吾さん、何かされたら私に言ってくださいね。優吾さんの為ならば殺人すらも躊躇いませんから。」
これは私の本当の気持ちだった。
「優吾さんの為ならば数人の命を奪うことだって簡単なことですよ。」
私は優吾さんの目をしっかりと見て言った。彼は私から一瞬目を逸らす。私の顔を見て照れてるのだな。なんて可愛らしいのかしら、優吾さんは。
「だから早く小花と春夏と紗枝、沙友理と離れてください。あの4人は優吾さんと仲良くしていい人ではありません。」
優吾さんは相変わらず黙っている。きっとどう返事をして良いのか分からないのだろう。そんな姿すらも愛おしくて、愛おしくて仕方がなかった。
「覚えていますか?私が優吾さんと同じ部活だった頃のことを。」
「ああ…覚えているよ。」
やっと優吾さんが喋ってくれた。
「優吾さんは私のお話を嫌な顔せずに聞いてくれた。その時から私はあなたのことが好きだったのです。」
「私は優吾さんに出会ってから何もかも変わり始めました。あなたの居ない世界だなんて考えられません。」
私は依然と優吾さんの目を見て話しているのに優吾さんは私の目を見てくれない。そんな彼の恥ずかしがっている姿すらも何もかもが愛おしい。
「ごめん、親が迎えに来たみたいだからお先に。」
優吾さんはそう言い残すとそそくさと駅の階段を下りて行った。
昼下がりの無人駅に一人残された私は去って行く彼の姿をいつまでも眺めていた。
優吾さん…。私はあなたのことが世界で一番大好きです。あなたさえ居れば私は何も望みません。
「優吾さん…大大大好きだよ…。」
私はうっすらと雲の掛かった空を見上げながら愛の言葉を囁いた。
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