第3話  初恋相手

 玲依は、授業が理科の実験で移動教室のため、2年生の階にやって来た。友達と話ながら歩いていると、2年生が横を通り、何かが心を刺した。心臓が何故か異常に鼓動が激しい。後ろを振り返って見ると、女子の後ろ姿が見えた。「今のは一体なんだったんだろう。」と呟いた。

「ん?玲依、今なんか言ったか?」

「え、ううん。なんでもない。」

理科の実験中もあの女子のことが頭から離れられない。このことが気になった玲依は、休み時間に2年生の教室の前のやって来た。さっきの人を探している。すると、誰かに話しかけられた。

「君、どうしたの?」

「え?あ、いや、人をさがし……て…い、て。えー。あ、すいません。何でもありませーん。」

さっきの女子に話しかけられ、とっさに逃げて来てしまった。逃げて来たことを後悔している。1週間後、廊下から玲依が呼ばれた。玲依を呼んだ人は、あの女子だった。顔は真っ赤になり、心臓がバクバク、手汗が大量に出てくる。

「ねぇ。鈴成くん。なんでこの間逃げたの?」

「え、それは…。」

「もしかして、玲依、兼近先輩のこと好きなの?」

周りから、そんな声が聞こえてきた。玲依は考えた。もしかして俺って、この人のこと好きなのか?こんなに緊張するなんて…。気になりながら、話は進んでいく。

「今日の放課後、図書館二』来てくれませんか?」

「図書館?いいけど。」

「ありがとうございます。話したいことがあるのでお願いします。」

玲依は、家に帰る前に図書館に来た。まだ、美波は来ていないので、入り口で待つことにした。数分後、彼女がやって来た。2人で借りた個室へと向かった。席に座り、早速話を始めた。

「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」

「あ、そうだったわね。私は、兼近美波っていうの。よろしく。」

「兼近美波さんですね。わかりました。あの僕、先輩が横を通った時何かを感じました。兼近先輩、僕になにかしました?」

「え?私何もしてないよ。」

話は発展していき、2人の仲が少し深まった。連絡先を教えてもらい解散した。そして、毎週一度だけ図書館で話した。いろいろ話し、玲依は話すうちにどんどん好きになっていった。美波といる時は、自分も素を出すことができた。学校にいるときとは違う美波を見ることができた。

 玲依は美波に恋をしていた。2ヶ月後、この日は美波の誕生日ということもあり、今日の放課後は別の場所に呼び出した。そう、学校の裏だ。その場所に行くと、もう美波はいた。

「ごめん、待たせちゃった?」

「いや、そんなことないよ。私も今きたとこ。」

「なら、良かった。今日誕生日だよね?」

「え、覚えててくれたんだ。ありがとう!」

「うん。誕生日おめでとう!」

言葉と一緒にプレゼントを渡した。

「わあ、ありがとう!このピン欲しかったんだ。これ可愛いよね!」

「あの、美波ちゃんに話したいことがあるんだ。聞いてもらっても良い?」

「うん、良いよ。どうしたの?」

玲依は深呼吸をし、口を開いた。

「あの、俺出会ったときから美波ちゃんのことが好き。で、今は美波ちゃんに恋をしてるんだ。今まで、放課後に話すこともめちゃくちゃ楽しかった。これからも話したいと思った。」

もう一度、深く深呼吸した。

「好きです!付き合ってください!」

頭を下げ、手を差し出した。美波は顔が真っ赤になって驚いていた。そして、美波は玲依の手を取った。

「私も好き!よろしくお願いします!」

顔を上げ思いっきり喜んだ。

「やったー!」

玲依は、初恋相手と付き合う事ができ、ものすごく喜んでいる。このことは、すぐにクラスメイトに広まっていった。誰かがこっそり見ていたらしい。

 こうして、玲依たちは夏休みに差し掛かった。

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