3-1

 昼間から盛り上がっている事が店に入る前から、その喧騒と酒の匂いで伝わってきた。ただ、見た目聖職者風のロブマイヤーが入ってくると、流石にバツが悪そうにしている客が数名。何でここに? という問いかけを目でしてくる客が数名。誰? という……まあ、とりあえず店が静かになった。

 その内、自分の職務を思い出した店主らしき人物が、最初にロブマイヤーに話しかけてきた。

 

「いらっしゃい、旅の僧侶様。うちの店に何か御用で?」

「こんにちは。皆さん、どうぞお気になさらず。所用でこの国に来ただけの旅の者ですから」


 店主含めその場に居る全員に語り掛け、一礼の後に名を名乗った。


「初めまして、ロブマイヤー パトリシアン トラベラーと申します。ここから少し遠い国で生まれ、今は世界中を巡り、祈りの旅を続けております」

「ふむ、それで、お酒ですか? それとも布教活動に?」


 四角四面な態度を崩さないまま、店主が尋ねる。ロブマイヤーはそんな店主の態度に一切気分を害した様子も無く、笑顔で言った。


「そうですね……まずはここで一番有名なお酒と食事を、ここにおられる全員分お願いできますか?」


 一旦静かになった酒場は、再び先ほど以上の盛り上がりを見せた。









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