第33話
この日の、房子を中心とする、所謂「幹部会」は、幾つかの細々とした事項を打ち合わせして、終わりに近づいていた。
房子は、足立家でいつも使っている仕出し屋から季節料理の弁当をとり、皆に振舞ってこの日の労を労った。
その夕食の席には、房子の母であるひさと、父である輝夫も揃って参加した。
ひさが、足立家の二代目である事はこの物語の初めの方で触れた。その婿が輝夫である。
共に七十代の高齢ながら、二人とも揃って丈夫で健康そのものであった。
ひさは、年齢に似合わぬ肌の艶を保ち、細身で落ち着いた雰囲気を持っている。
今は、A興産を中心とする足立家の企業群の相談役に就いている。
長身ですらりとした体型のひさに比べて、夫の輝夫はずんぐりとした体形の男性である。
その丸顔はいつも艶々していて、禿げあがった頭から常に湯気が出ているかと思わせる程の精力漢である。
彼は、足立家の富を危なげなく増やし、社長の座を良介に渡してからは、受け取った退職金を元手にして、自分で個人事業を営んでいる。
性格はいたって穏やかで、七十代に入った今もいささかも衰えない頭脳を保っている。
ひさと輝夫の先代夫婦は、同じ敷地内の別棟に住んでいる。
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