第20話 

 淳は、父の失踪について知らされると、すぐに食事を止め、

ともかくも家に向かった。慌てているのが、誰の目にも明らかだ。

 車を走らせている間、彼の脳裏には父の思い出が浮かんでは消えていた。

その姿は、世間の人々が抱いている足立良介のイメージとはほど遠い物だった。

温かく優しさに満ちていて、淳が抱える苦悩を癒やしてくれる。

 その存在が失われようとしていると思うだけで、彼は今にも狂ってしまいそうだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る