BMX、寡聞にしてなんとなくとしか知らなかったのですが、Bicycle Motocross の略で、自転車競技の一種、ときには使用される自転車そのものを指す言葉だそうです。へー!
主人公は物心ついた時からそのBMXが日常の一部分となっていたというセーゴ。大人や年上の友人サッチに囲まれ、大怪我を経験しながらも乗り越えていよいよ高校生に。
ところが、彼はこれから通う松木北高校でとある対立があることをサッチから聞きます。
それはサッチが所属するスポーツ科と彼が進学する普通科との険悪な対立。同じ高校だというのに学舎もネクタイの色も分かれた彼らは、食堂や購買ですらきっぱり列を分けるほどの徹底的な対立があるのでした。
そんな中、普通科の生徒である美術部員の絵が盗まれた事件をきっかけに、スポーツ科だけで占められる風紀委員を務めるサッチとともに、セーゴは持ち前の観察力と洞察力で様々な事件を解決していくことに。
その事件の果てに見えた、松木北高校の対立の秘密とは——?
高校生という子供と大人の間にある彼らの中で、どちらかといえばまだ中学から上がったばかりで妥協を良しとしない真っ直ぐなセーゴと、高校生活を経験する中で処世術を意識しながらもセーゴと過ごすうちに学校でも自分を少しずつ取り戻していくサッチ。
学園ミステリとしても、人間ドラマとしてもとても楽しめる、ラストは迷いはありつつも毅然と前を向いていく意志が感じられる、爽やかな一作でした。