第19話 償い
私は、まだ自分に向き合うことが出来ずにいた。
本当にこんな風に産まれて来て良かったって思える日があっただろうか?
寧ろ、逆なんじゃないか。
産まれて来て良かったって思った日なんて無いんじゃないかって。
産まれて来てから、苦労ばかりで、原因がはっきりしたのが、17年経ってからで、なんでもっと早くに分からなかったんだろうって思うばかりで……。
私は、本当に産まれて来て良かった?
本当は全部自分のせいでこうなったんじゃないかって思う。
自分が早く産まれたから、成長も遅くて発達も遅くて、発達障害を持って産まれてきたんじゃないかってずっと自分を責めてきた。
自分のせいで、お母さんを悲しませたんじゃないかって。
私が、ちゃんと予定通りの産まれ方をしたら、お母さんが、保育器の中にいる私に向かって「ごめんね。」なんて泣きながら、謝ることも無かったんじゃないか、心理検査の結果もショックを受けずに済んだんじゃないか、ないものねだりをしてしまう。
ずっと考えていた事だった。
発達障害を持って産まれて来て母親にとって良かった事なのかって。
分かってる。これは誰のせいでもないって。
けど、自分を責めていないとやっていけないんだ。
私にとっての最大の罪は、お母さんを悲しませたことだ。
本来なら、産まれた瞬間母親は、子供を嬉しそうに抱く。
なのに、私は、産まれてすぐに悲しませたんだ。
「ごめんね。」って謝らせた。
だから、私はその罪を生きて償い続ける。
お母さんが私を産んで直ぐの苦い思い出を無かったことには出来ないから、せめて思い出すことのないように。
私が、発達障害を持って産まれて来て幸せだよって、お母さんに胸張って言えるように、お母さんが自分の事を責めない様に、そういう風になれたらいいと思ってる。
私は、そんな考えを頭に浮かべながら、どうやって上手く自分の特性と付き合おうかと悩んでいた。
私の特性は、ADHDとASDとLDだった。
この3つを母親を喜ばせるために、どう活かそうかと1人悩んでいた。
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