第17話 レッテル
人生に抗って、楽しみ方を見つけるといったものの、分からないし、なにより日本だと障害者はレッテルを貼られているようなものだ。
同じじゃないからこそ異様な目つきを向けられる。
それにどう抗っていこう。
「困ったな。」
まずは、受け入れる事が必要だけど、受け入れない人が家族で1人いるものだから、どうしようもない。
「受け入れない人を気にする必要は無いか。」
そう思う事にした。
受け入れる……。
自分はまだ心のどこかで、受け入れられていないと思った。
まだ、申し訳ないと思っている。
母親に、健康で生まれてこれなくて申し訳ないと思っている。
きっと、お母さんは何不自由なく産まれてくる事を望んだはずだ。
なのに、自分は、どうして障害を持って産まれてきたのだろう。
そう思ってしまう自分がいた。
自分が未熟児で産まれなかったら?こんなことになってなかった?
そんな考えが、頭の中で廻る。
だが、それは誰にも分らないことだ。
だって、そういう特性を持って産まれてきたから、それとうまく付き合っていくしかないのだ。
自分でレッテルを貼っても意味がない。
そう思った私は、ネガティブな考えを取り払った。
「……。受け入れたい。」
と、口にするも、ネガティブな考えが、浮かぶ。
「なんで、普通じゃないんだ。どうして?」
普通じゃない苦しさがこみ上げてくる。
深呼吸をする。
「…ふぅ。」
大丈夫、お母さんはそんな事思わない。
お母さんは、寧ろ、産まれて来て良かったって言ってくれたじゃないか。
私が、自分で自分の障害に対して、レッテルを貼ってどうするんだ。
「本当に馬鹿だなぁ。」
お母さんは、そんなこと願う人じゃないのに、感謝してくれる人なのに……。
自分の考えはまだ幼いな。
馬鹿げた考えは、お母さんの言ってくれた「寧ろ産まれて来てくれてありがとうって思ってるよ。」の言葉を思い出して無くなった。
あぁ、私は、お母さんを疑っていたんだ。
絶対に、レッテルを貼らない優しいお母さんを。
お母さんに申し訳なくて、その優しさが嬉しくて、泣いてしまった。
「……ッ!」
涙が止まらない。
あぁ、この人が母親で、この人の娘で良かった。
心からそう思った日だった。
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