第16話 抗う楽しさ

 私は、今まで通りに生活をしていた。



 趣味の小説書きをしながら、勉強もしつつ過ごしていた。



 カタカタ…。パソコンで小説を書く。



 今の気持ちを小説にぶちまける。



 私にとっての生きがいは、小説を書くことだった。



『私は、衝動的に放った言葉を後から後悔した。』



 リアルな話を書くのが得意だった。



 一気に4話書き上げることも可能だった。



 だから学校でやる課題研究も小説を書くことにした。


 

「……ふう。」



 ある程度書き上げたものを、コピーをする。



 私は、お爺ちゃんにコピーしたものを送る。



【中々出来ない表現の仕方をしていて面白い。続きも楽しみにしています。】



 お爺ちゃんから、感想が来る。




【良かった。喜んでもらえて。続きも書くよ。】




 ふと幼馴染にも送ってみようかと思い、連絡する。



【小説書いたんだけど、読む?】



【読みたい】



 すぐに返信は来たので、課題研究の小説を送った。



 数分後に返事が来た。



【最後の方泣けて来ちゃった。】



 感動させられた事に嬉しくて喜んだスタンプを送る。



 ピロン!とラインの通知が来る。



 幼馴染かと思ったら、お爺ちゃんだった。




【音緒ちゃんは文章力があるね。もしかしたら、そういうところは言語理解で才能が出てるのかもね。】



 どうなんだろう…?



【それは、分からないね。】



 けれど、文章力で才能があると言われたのは、嬉しかった。



 ふと、義稀くんが言っていた事を思い出した。



「障害者っていってもいろんな人がおるけん。味覚が無い人は、食べ物の感触を楽しむし、目が見えない人は、音とかで感じ取る。皆そうやって、工夫してるんよ。別の楽しみ方を発見して楽しみ、面白さを感じてるんだ。」



 その通りだと感じた。



 なにかしら、皆楽しみ方を変えて楽しんでいる。



 私の場合だったら、計算は不得意だけど、文章を考えるのは幼い頃から得意だから、文章を書いて楽しんでいる。




 障害者の強みは、もしかしたらそこなのかもしれない。



 何かが欠けている、だから駄目なんだ。そう思う人も多くないだろう。



 だけど、私たちにしかできない楽しみ方があるというのは、誇れる部分なのではないだろうか。



 人生に抗って、私たちなりの楽しみ方を見つけるように神様はそういう試練を与えたのではないだろうか。



 人生に抗って、自分の楽しみ方を見つける、そう決意した。
















 



 


 









 







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