第13話 分からない

  私は、障害者です。と何故打ち明けたら駄目なのだろう?


  後から言うより、先に言った方が相手もどう接したらいいか分かるじゃないか。



 父から「人に言うものじゃないぞ!」と言われて思った事だった。



「どうして言ったら駄目なの?」



 どうしても分からないから母に聞いてみた。



「それはね、音緒くらいの特性だと気がつかれにくいし、なにより非難されることが多いからね。あまり言わない方が良いの。」



 非難する人はほっとけばいいだけじゃ…?



 納得はあまりできなかった。


 人にあまり打ち明けない様にしよう。そう思っといた。



「音緒。」



 母が私の名前を呼んだ。



「何?」



「音緒は集団苦手だってどういう時に、そう感じるの?」



 え………。どういう時?




 急な質問に戸惑った。どういう時と言われても、どういう時に感じるか分からない。



 だた、その時に苦手だと感じる。それだけだった。



「えっと…。」



 上手く答えられない。



 苦手な時……。



 強いて言うなら、あの時だろうか。



 だが、あの時の事がうまく説明できない。




 あの時と言うのは、英語の時間の時に起きたことだ。



 ビデオを見る授業だったが、先生がビデオを準備する間ワークをみんなやっていた。ビデオの準備が出来て、皆はビデオに集中していた。けれど、私だけワークをずっとやっていた。


 前に見た内容だったし、なによりワークをやりたかったから、そっちを優先させた。



「音緒ちゃんは、どうしてビデオ見ないの?」



 友達から不思議そうに尋ねられた。



 どうして?前に見たないようだったし、耳で聞いているからいいと思った。なんてことは言えるはずもないので、「あー、先延ばしにしちゃうから、そうならないように先にやってるだけだよ。」とだけ答えた。




「どうなの?」


 再度母に尋ねられる。



「うーん。」



 説明する前に学校に到着してしまった。



「あ、行って来ます。」



「はい。」



そこで会話は終了してしまった。



 

学校が終わり、家に帰ってから、「集団が苦手な理由」を探してみた。




だが、考えても分からないままだった。










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