第12話 音緒の中での変化

 自分が発達障害と判明してから、ずっと考えていた。



 親はどう思ってるのだろう、と。



「お母さん、私が発達障害って判明してどう思ったの?」



「そうだねぇ、前にも話したけど、ウィスクの検査で引っかかった事が無かったから、物凄くびっくりしてるね。」



「そうなんだ。ありがとう。」



「お父さんは?」



「別になんとも思ってない。」



 冷たく言い放った。



 本当に無関心なんだな。どうでもいいんだな。改めてそう思う。


 すると母が「音緒は、障害者手帳取りたい?」と聞いてきた。



「もちろん。」



「分かった。じゃあその準備をしていこう。」



 ニコッと微笑んだ母だが、心療内科で、ショックを受けているかのように感じた。




 先程、「びっくりした。」と言っていたけれど、本当はショックを受けているのでは無いだろうか。その考えが頭から離れない。




 なんだか申し訳なくなる。自分が産まれてきたことが。



 障害を持って産まれてくる事は、決して悪いことではない。だが、受け入れるまで時間が掛かるのは当然だと思った。本人も、その家族も。



 発達障害という立場に置かれてから思うようになったことがあった。




 それは、健常者の人が私が発達障害者と知ったとしても、今まで通りに接してくれることがどれだけありがたいことと、普通は無いと言う事だった。




 私達発達障害者は、というより、障害者は、「障害者です。」と打ち明けた際に、3種類の人が存在することが分かった。



 それは、今まで通り接してくれる人と、理解はしてくれているけれど何処か一歩引いて壁を作る人、貶す人の3種類だ。



 私達は、今まで通りに接してくれる人をとても貴重な存在だと感じるのだ。



障害を持っていることを打ち明けた時に、物凄く緊張したし、これから関係がどうなるか分からないからとても不安なのだ。



だから、打ち明けた時に、何事も無かったかのように今まで通りに接してくれる人がこんなにも嬉しいのだと感じることが出来たのだと思う。



 また、普通は無いというのは、簡単なことだ。



 計算が普通だったらできるよ。に対して、できない人だっている。


 

 それを普通じゃないっていうのは可笑しいと思った。



 皆が使ってる普通と言う言葉は、その人の考えの押し付けみたいなものなんじゃないかと思うようになった。




 こんな風に、私の中で考えが変化していった。






















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