第8話 その後
「ヒーロー」としていることを決めた私は、虐めを気にしないようになった。
学校では相変わらず虐められた。
「ねぇ〜、あの子鬱病なったんでしょ〜!」
「じゃあなんで学校来てるの?」
「ヤバいよねぇ〜!」
ドクン…と心臓が飛び跳ねそうだった。
なんで知ってるんだ…。
動揺を隠せなかった。
更に虐めっ子は、続ける。
「なんで皆と同じ行動出来ないんだろうね〜、可笑しいよね。」
「分かった!!!ADHDだからだ!!!」
教室内に響く程の大声で、閃いた!とでも言わんばかりかのように、言った。
ビクッと体が反応した。
ヤバいヤバいどうしよう……バレた……?
私は……普通じゃない?
ぐるぐるとネガティブな思考を巡らせる。
「……はぁ……はぁ……ッ」
息が上手く吸えない。
どうして……?
どうにか息を吸い、呼吸を整えた。
やっぱり自分は……。
ネガティブな思考は止まらない。
ふと、すけさんの言葉が浮かんだ。
「ヒーロー」
ぽつりと呟く。
そうだ。ヒーローだ。
私はヒーローだ。
グッと、泣きたいのを堪え、前を向いた。
大丈夫、私は、かっこいい存在なんだ。
そう自分に言い聞かせて、その時間を乗り切った。
大丈夫と言ったのもつかの間で、次の言葉でその考えは出来なくなった。
「え、うわ、なんで指使って計算してるの。やばいわ~」
あ……。
「ほんとだ。小学生以下じゃん。」
指使ったのがばれた。
とうとうボロが気がつかれるようになってしまった。
遅かれ早かれきがつかれるだろう。そう覚悟はしていた。
だが、気がつかれたときの恐怖と、ショックはデカかった。
「障害者じゃん。」
流石にこの言葉には、耐えられなかった。
「……。」
気がついたら、涙を流していた。
「大丈夫?」
「……。」
答えられない。
苦しい。ヒーローにもなれやしないじゃないか。
そう思いながら、泣き続けた。
視線が私に集まり、それに対してパニックになる。
一旦保健室に避難する。
「先生…。どうしたら良いか分からないです。」
縋るような思いで、保健室の先生に助けを求めた。
「そっかそっか。辛かったね。でもね、決して障害は悪いものではないよ。だから、ポジティブに考えてみようか。」
「ポジティブに……。今は出来そうにないです。」
ポジティブに?
どうしたらいいのか分からないまま学校が終わった。
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