第7話ヒーローとして生きること

「私はヒーロー。」



 そう言い、自分の胸をトントンと叩いた。



「行って来ます。」



 母親に伝えてから、学校に向かう。



 学校はいつも通りの日常だった。



 ジロジロと見られ、ニヤニヤ笑われた。



 だが、今日は気にしなかった。



 すけさんの言葉を思い出していたから。



『そういう人達って人とは違う人生歩めるんよ!?かっこいいじゃん!!!』



 この言葉があったから、堂々と出来た。



 自分はヒーローなんだ。そう言い聞かせた。



 家に帰り、由奈ちゃんの配信に行き、すけさんから言われたことを話す。



「……って事があったんだけどね。初めてかっこいい、羨ましいって言われたよ!」



 興奮気味に話す。



「ネオちゃん、落ち着いて。でも、良かったねぇ。」



 私は、唯一発達障害のグレーゾーンと打ち明けたネッ友でもあり、発達障害の由奈ちゃんに話した。



「うん!少しは、前向きに捉えられそうだよ。」



「良かったよ。」


 どうやら心配してくれたみたいだ。



 そこから、お互いの特性について話し合う。



 感覚過敏である事がお互い一致した。



 感覚過敏とは、匂い、音、目線、言葉などに敏感で、五感が優れているといった感じだ。



 由奈ちゃんは、音、言葉、匂い、味覚、目線に敏感だった。



 私の場合、音、目線、言葉の3つだ。



 人それぞれ特性や、頻度、敏感の種類の多さ、その他諸々違う事に気がつかされた。



「感覚過敏でもこんなに違うんだね。」



「そうだねぇ、私の場合物凄く敏感で大変なの。スーパーで売っているピザパンあるでしょ?あれ辛くて食べれないし、辛いもの嗅ぐと、頭痛くなっちゃうんだよねぇ。」



「そっかそっか。頭痛くなるのは大変だねぇ。」



「そうなんだよぉ~。」



 こんな感じで、話していた。



 あと共通していた事といえば、無自覚なところだ。



 発達障害の人は、自分が発達障害だと言う事に気がつかない。

 


 私の場合は、二次障害いわゆる、鬱病などの病気を患って、心療内科に受診して、気がついた。



 こういったケースは珍しくない。



 だが、そこで障害にネガティブになっていてもしょうがない。



 神様からの与えられた試練をこなす者と捉えればいいだろう。



 また、ヒーローも同じだった。



 ヒーローは何かしら試練みたいなのを与えられる。



 だから障害者は、ヒーローと置き換えてもいいのだろう。



 その意思が固まった私は、「ヒーロー」としていることを決めたのだった。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る