第5話 音緒の気持ち

 心療内科に行った後に、ADHDの薬ビバンセという注意力散漫を和らげるお薬をもらった。



「おはよう。」


 朝起きて、コップに水を汲み、薬を飲む。



「…ゴクッ。」



 薬の効果は、私の身体が繊細過ぎて副反応まで出た。



 ふらふらしながら学校へ通う。



 まだ実感が湧かなかった。



 自分が発達障害の狭間の人間である事に。



 人は急にこうですよ。と病名だったりを告げられても実感が湧かないとはこの事だのだと分かった。


 

私はこれから、どうなるのだろう。そんな不安がまた広がっていった。



「音緒。大丈夫?」


 

不安そうに母が聞いてくる。



「大丈夫だよ。」



 そう答えたが、正直副反用が出てそれどころじゃなかった。



 ふらつきながら、学校の中へ向かった。



 障害者の枠に入るかもしれない。自分が………?


 

 今まで普通に生活していたのに……?



 こんな風に、障害に対してネガティブな考えを持っていた。



 それ以来、ネガティブな考えばかり浮かんでしまうようになった。



「発達障害……。」



 ポツリと口に出した。



 この日は、授業に身が入らなかった。



 どうしても、自分の置かれている状況に理解が追い付かなかった。



 障害者としての枠に入った後は?友達からは何て言われる?



 1番気がかりだったのは、虐めっ子からの評価だった。



 ただでさえ、気持ち悪いというレッテルを貼られているのに、障害者の狭間の人間だとばれたら?



 その後の事を想像するだけで、吐き気がした。



「………ッ。」



 吐きそうになるのを抑える。



「……はぁ。」



 どうしたらいいんだろう?



 八方塞がりとなってしまった。



 だが、障害をどう前向きに捉えたら良いか分からない。



 そんな気持ちで、Twitterを開いた。



【ADHDの薬飲み始めた。】



 投稿ボタンを押す。



 何も考えないで、投稿をした。



 どうせ誰も見無いだろう。



 そう思っていた。だから、あの人から、連絡が来ると思ってなかった。





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