第4話 結果と父親への信頼

 心療内科へ行き、抑うつ状態と言われた事、それから発達障害のグレーゾーンだと言われてきた。



 グレーゾーンと言うのは、発達障害かどうかの曖昧なラインにいることらしい。


 

 診察が終わり、お母さんに車の中で「抑うつ状態とADHDって言われてきた。」と話す。



「そう言われて音緒はどう思った?」



「気がつかなかった。」



 そして軽くショックを受けた。



 まさか自分が、発達障害の傾向があったなんて思いもしなかった。



 普通じゃないと違和感を抱いていたのは、間違ってなかったんだ……。



 今まで積み重なって来た違和感が、ようやく分かった気がした。



 じゃあ、皆と同じように暗算が出来ないのも、同じ事何回も喋るのも……。



 少しずつ謎だったことが判明していく。



「全然分からなかった。お母さんは知ってたの?」



 お母さんは気がついてたのだろうか。そう思い、聞いてみる。



「音緒が小さい時に、赤十字病院で積み木とか使った検査やったの覚えてる?」



 え…?



「覚えてるよ。」



「実はね、それ発達障害かどうかの検査だったの。」



 え………。知らなかった。



「……。」



「小さい頃は、問題ないですよ。って言われてきてたの。お母さんね、幼稚園の先生にも小学校の先生にも面談の時聞いてたの。音緒はこういう検査してたから、学校でどうですか?って。でも特に問題ないです。って言われてきたの。」



 そうだったのか……。



 驚いた。お母さんがそういう風な事を聞いていた事事態知らなかったから。



「でも、どうして今になって、こういう風になるのかな?」



「きっと年齢上がってきてやらなきゃいけない事が増えたでしょう。それをこなすのが音緒は辛いんじゃない?」



「うん。そうだね。」



 図星だった。正直年齢が上がるにつれて、やれなきゃいけない事が増えて出来なくて、パニックになっていたから。



 家に帰り、お父さんにも話した。



「だろうね。俺は、躁鬱病だとおもってたけどね。」



 え……。気がついてたなら、何かしらできただろ。



 なんでそんな他人事の様に言うんだ。



「……。」



 正直この言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが壊れる音がした。



 あぁ、この人は、心配も何もないんだ。信用が一気に無くなる。



 子供に無関心だ。そう感じた。



 父親への信用を無くなった夜。風が吹いて冷たかった日だった。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る