古い音楽雑誌に掲載された、とあるバンドマンの連載エッセイのうちの一話。
という体の、いわゆるパスティーシュと呼ばれる種類のお話です。
もうとにかくすごいのが文章というか文体そのもの。
いわゆる昭和軽薄体の形態模写なのですけれど、その精度がもう本当に途轍もない!
そんな詳しくなくてもわかるというか、なんだか読んでいてそわそわ落ち着かないような心地にさせられます。
この「知らないんだけど知ってる味」感……!
内容は紹介文にある通り、確かに「しょうもない」のですけれど、印象的だったのは終盤の展開。
きっと需要がないこともないというか、あるいはファンの一部が局所的に盛り上がっちゃうかもしれない感じのエピソード。
こういう売り出し方もそれはそれでまあなくもないのかも、と、ついそんなことを思ったお話でした。いない人たちなのに!