第27話 酔い
「……くは──っ!」
「この──っ!」
超能力者たちが一斉に攻撃を向けてくるが、しかしそれらはもはや当たりすらしない。俺は、先ほどと同じく【
「せぇぇぇいっ!!!」
「ガッ──!?」
──【
無重力状態の中、回避と攻撃を兼ねた【
──しかし、唐突に最大の敵は訪れた。
「……うぷっ」
無重力状態で翔け回ったことにより、俺の三半規管に異常が起こる。最大の敵、その正体はすなわち──【酔い】。
「き、気持ち悪い……」
まるで船酔いだ。フワフワとした状態で変な軌道を描きながら激しく動いたり止まったり、どっちが上下なのかもあいまいで──うっぷ。
……こうなったら、仕方ないっ!
「無重力の女の能力者の人……! まずはお前を倒すっ!」
「ひっ──!」
「女の子に極力は手をあげたくはないがっ! すまん!」
「ひゃぁぁぁ──っ!」
ボンッ、ボンッ、ボンッ! と【
「ひぃぃぃっ!」
「消せぇっ! 無重力を消せぇぃっ!!! さもなくば──吐くっ!」
「いやぁぁぁっ!」
「早くっ! もう喉まで来て──オロロロロっ!」
間に合わなかった。俺の口から溢れるゲロの滝が女の子の頭頂部へと流れ落ちた。
「ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁ──っ!!!」
無重力の女の子は白目を剥き──その場に崩れ落ちた。
「あっ、ゴメン。耐えようと思ったんだけど──あ、無重力消えたわ」
俺の足がようやく地面に着いた。頭のフラつきがまだあるが、吐いたおかげで酔いは少しマシになっていた。俺のゲロ海に溺れてしまった女の子には申し訳ないけど、これでようやく本領を発揮できる。
「さてと、あと10人ちょいか?」
この調子なら、
「──もう、ダメですよ丸山くん! 女の子に向かってそんなばっちいことするなんて!」
唐突に、そんな声が後ろから聞こえた。それは、聞き覚えのある声だった。
「……えっ?」
振り返る。この部屋の入り口、その扉を開けてそこに立っていたのは……
「ツバメ、先生……?」
「はーい! そうですよぉ、丸山くんの担任のツバメ先生ですよ~?」
その小柄で、おっとりした表情のツバメ先生が、まるで当たり前のように返事を返した。
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