第19話 守らなきゃ
今日は、シリウスとマルコはお出かけ。
ご飯を盗まなくてもいい。
ここで、少し休もう。
ちょっとだけ。ほんの少しだけだから。
目が覚めたらちゃんと2人を守るから。
もう、あんな思いはしたくない。
守らなきゃ。優しい2人を。
私の友達を。
アドルフside
俺が見つけた時、少女はひどい熱だった。
こんな寒そうな場所に身を隠して。
体を小さく丸めて。
俺を連れてきた子供2人は顔を真っ青にして。
少女のもとへと走っていた。
「スター!!スター!!!」
白銀の髪の名前はシリウス。
彼は今にも壊れそうなほど少女を揺さぶっていた。
「落ち着け、シリウス!!」
「マルコ、どうしよう。スターが、スターが」
俺は少女の頬を触る。
かなり熱い。
このままじゃ、手遅れになるかもしれない。
「足が速いのはどっちだ!?」
俺はシリウス、マルコの肩に手を置く。
「それなら、シリウスだ。シリウスは風魔法も使えるから僕よりも速い」
俺はメモを取りシリウスと同じ目線にしゃがむ。
「いいか、この子を守りたいなら。今すぐここの場所に行き、医者を連れてくるんだ。俺の名前を出せばすぐに来てくれる」
メモを渡すとしっかりと握ってシリウスは少女の頭を優しくなでた。
「すぐ戻ってくる」
突風を巻き起こし、シリウスは消えた。
「この子を休めれる部屋はどこだ。あと、濡れたタオルもいる」
「それなら、入ってすぐにシリウスの部屋がある。そこで寝かしといて。僕はタオルと水を持ってくる!!」
「スター!!!」
この声は。2人の分の足音。
「シリウス、その人は先生なの?」
マルコは部屋に案内しながら額に浮かんだ汗を拭う。
「あぁ」
シリウスの後に入ってきたのは俺が小さい頃からの腐れ縁アラスタ。
「これは、酷い熱だ。栄養失調と、過労。それに精神的に弱ってる」
アラスタはてきぱきと薬を混ぜ合わせ少女に薬を飲ませた。
「うっ」
少女は苦しそうにしながらも飲み込んでいた。
「し、シリ、ウ、ス」
息が荒い中呼んだのは少女を誰よりも守ろうとしたシリウス。
「どうした、スター。俺はここにいる。マルコもいるぞ。1人じゃない。俺ら3人ずっと一緒だ」
優しく見つめる瞳。微笑み。
俺にはあんなに冷たい瞳だったのに。
彼女に向ける瞳は愛しい子供を守るように。
「彼女は、どうしてこんなに細いんですか」
アラスタは俺に視線を移して言った。
いや、俺が知るかよ。
「あまり、僕の侍女のことは言えない。ただ、お金はちゃんと払う。だから、彼女を。スターを救ってください」
マルコは真剣な表情で目で。頭を深く下げた。
一応、貴族の子供なのに。
「それじゃぁ、アドルフ。ひどくなったら俺を呼んでくれ。あと、この代金はお前もちな」
「いえ、僕が!」
マルコは慌てて言うが俺はマルコの口を塞いでおうといった。
アラスタが帰っていくと俺はマルコの前に跪いた。
「アドルフ・ルリナール。マルコ様とともにあることを。命に代えても。この身が朽ち果てようともお守りすることを誓います」
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