第18話 傷ついても シリウスside

俺は彼女のためにずっといた。

初めて彼女を見たとき、彼女を守るようにそばにいた男女が見えたから。

夜泣いてる彼女の涙を止めたいかのように浮いてる2人。

死んでるのか?

「ばかだな」

俺は知らず漏らしていた。

小さな背中をそっとさすって。

すると、俺を親と重ねたのか彼女は俺に抱き着いた。

俺にも妹がいた。

小さくて、まだ赤ん坊だった。

大きくなるはずだったのに。

俺は貧民街の生まれ。

妹は栄養が足りないのとお金がかかるということで父親に殺された。

俺は、金をもらうために奴隷として売られた。

彼女はどうして奴隷商こんなところにいるんだ?

それから、俺は彼女を気にかけながら過ごした。

そんな苦しい毎日の中、彼女は俺に言った。

俺がたまたま大人に歯向かった時。

「君は悪者に立ち向かうヒーローみたいだね!!」

その一言が。たったそれだけなのに俺の暗い闇の中から光のある場所へと引っ張り出してくれた。

彼女の笑顔が眩しかった。

愛情いっぱい育ったから?

やせこけた頬なのに。

目はくぼんでるのに。

それでも、可愛いと思った。

守らなきゃと思った。

それから、俺は奴隷商の大人たちに反抗するようになった。

彼女のヒーローになりたくて。

少しでも怖くないように思ってほしくて。

でも、彼女は俺が傷ついたことで泣いていた。

酷い目にあってるのに。

歪んでもおかしくないのに。

彼女は全てを諦めたような瞳をしながらも俺のために泣いてる。

そんな、彼女が俺を助けた。たったそれだけで鞭をくらってた。

おかしいんじゃねぇの?

なんで、こんな小さな子供に残酷なことできんだよ。

いらついた。

俺は大声で叫んでいた。

全てが憎かった。

彼女を傷つける大人が。奴隷商あいつらが憎かった。

誰を傷つけてもあの子だけは守らないと。

俺は奇声を放って男を刺していた。

彼女は崩れ落ちるように俺の腕の中で泣いていた。

ずっと、怖いと言いながら。

それから俺は必要なものを持って奴隷商に火を放った。

他の奴隷は逃がしてる。

あとは、腐った奴らだけ。

彼女を。いや、スターを背負って俺は逃げた。

この残酷な世界から、スターを連れ出したくて。

もう二度とスターを苦しめないために。

そんななか、出会ったのはマルコだった。

何も知らない俺とスターが身を寄せるのにはいいと思った。

最初は、うまくいった。

でも、スターはだんだん弱くなっていった。

傷つけられ、奴隷だっところより食欲がなくなっていく。

そこで、俺とマルコは傭兵のおっさんに頼まないといけない。

俺1人じゃ、スターを守れない。

どんなに怪我しても。傷ついてもスターには笑っててほしい。

この足の痛みだってスターがいれば、忘れられる。

スターが幸せならなんだってできる。

どんなに傷ついてても、スターのためなら。

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