第17話 やるべきこと

そこから、私は侍女らしく母屋でも働くことにした。

わざとどじばかりして継母にも他の使用人にも目をつけられるように仕向ける。

わざとボロボロになりこっそり使用人の食事を盗んで、シリウスとマルコに持っていく。

「お前、絶対わざとだろ」

シリウスに白い目で見られるが気にしない。

「スターのわざと、と言えたらどんなにいいか」

マルコは苦々しそうに言った。

「使用人のやつらは最初からスターを目の敵にしてた」

シリウスも呟くように言う。

「でも、シリウスは足を怪我してるでしょ?ここは、私に任せて!!」

私は、長袖の服をずっと着てる。

私のやるべきことは誰がどう見てもマルコを悪く扱っていること。

大丈夫、できてる。

このまま我慢すればいい。

「じゃぁ、戻るね!!」

私は知らなかった。

2人が私が思うより先に行動していたことに。


シリウスside

俺たちはひそかにあの傭兵に接触しようとしてた。

実際に、スターは栄養不足で今にも倒れそうなほどひどい。

はやく、大人を味方につけないとこのままじゃスターが。

「シリウス、僕の後ろから何も言わないで」

マルコの意を決したような言葉に軽くうなずく。

ゆっくりと2人であの傭兵のいる居酒屋に入る。

どうか、スターが無事であることを祈って。



マルコside

僕とシリウスは深くフードをかぶって肉料理を食べてるあの傭兵に近づく。

「……お前ら、盗みは悪いことだって知ってるか?」

気配で気づいたのだろう。

食べながら彼は言った。

「知ってる。だが、どうすれというんだ?私は私生児で食事もまともにもらえない。私を助けてくれた執事と侍女はもっと扱いが酷い。侍女は使用人のものを盗んで我々に分け与えてるぐらいだ」

僕はそこまで言うと黙った。

お前に何がわかるんだよ。

「だから、盗んでもいいのか?」

知ってるよ、そのくらい。

「では、我々に餓死しろと?傲慢だな。そうやって、大人は我々を見捨てる。貧民街の子供や奴隷の子供がどんなことを思う?私生児である私がどんな気持ちで過ごしてたと思う」

あぁ、イライラする。

今でも、スターは。

「スターが。私の侍女がどんな思いで嫌がらせに耐えてると思う。私たちのために一番幼い彼女が盾になってるというのに。我々は何もできない。彼女は笑ってる。私のために。執事であり、友であるシリウスのために」

あぁ。

スター、僕は君が。

君が大切だ。

だから、僕は君のために。2人のために動くよ。

これが、僕のやるべきことだから。

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