第11話 まずは

シリウスの手をはねのけた継母は、私たちをみてまた汚いものを見るようね目つきをしていた。

「よかった!!ケガしてない!!」

なるべく、純粋無垢に無邪気に。

飛び跳ねながら喜んだふりをする。

こんな、計画性のある子どもなんて嫌だなぁ。我ながら。

「こんなに、美しい人に傷の1つでもあったら世界中の人を敵にまわすところでした」

シリウス、その微笑み偽りだとわかっていても、惚れちゃうよ。

顔がいいのも罪って誰かが言ってたなぁ。

「まぁ」

扇子で隠しても、継母の頬が赤いのは明らか。

さて、いつまで幼いふりをすればいいものか。

『スター』

シリウスの目線でわたしはにっこりと笑う。

「シリウス!!褒めて!!」

私は、シリウスに抱き着く。

シリウスの服に顔をうずめれば私の役目は完成。

あと、少しでいつもの私に戻る。

「スター、高貴な人の前だから。後でな」

優しく頭を撫でてシリウスは私の頭に口づけをした。

これは、普通にうれしい。

「はぁい!!」

私は、シリウスから離れるとわざと屋敷の中を見ては歩いた。

「お城みたい!!マルコ様、いいなぁ。こんな素敵なところに住んでるなんて!!」

マルコの服を掴んで私は笑顔を保ったままいう。

まずは、継母の心をつかむこと。

私は無害な女の子。

シリウスは……。ちゃらい??

『スター?』

一瞬、背筋に悪寒が走る。

気のせい気のせい。

まぁ、歪な私たちだけど。

マルコ、ここは私たちにまかせてね☆

「それにお姫様も住んでるなんて!!夢物語みたい!!」

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