第9話 きっと

それから、私たちは公爵家の元へと荷馬車を走らせた。

意外と早く着いたな。道も補導されて揺れも少なかったし。

そのまま公爵の門まで行こうとする2人を止める。

「ねぇ、本当にこのままいくの?」

慌てて額の痣を指させば2人とも納得したように頷く。

「それなら、こうしようか!!」

突然マルコはにんまりと笑った。

思わず後ずさる私とシリウス。

マルコ、なんか怖いよ。しかも、なんで人差し指を私たちに向けるの!?

「「いったぁああああ」」

額に激痛が走り地面に倒れる。

あまりの痛さに体を丸めながらもがく。

少しして痛みがだんだんひき、立ち上がる。

すると、前以上に体が軽くなっていた。

そっと頭から手を離すと満足そうに笑うマルコがいた。

私はゆっくりとシリウスを見る。

額の痣が。消えていた。

「うそ!?」

「まじかよ!?」

2人の声が重なる。

そして同時に笑った。

おかしいくらいに。お腹がいたくなるくらいに。

「俺らの主は機転がきくなぁ」

シリウスは横になったまま言う。

「でも、許可は取ってよ。すっごく痛かったんだから!!」

私も笑いながら言えば嬉しそうにマルコは笑った。

「じゃぁ、2人共僕と一緒に来てくれる?」

マルコは、一瞬寂しそうに。迷うように私たちを見る。

「ここまでされて頷く以外、何があるんだよ」

「マルコのことは私たちが守るよ!!」

きっと3人なら何にだって勝てる。

私は信じて笑った。

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