第8話 大丈夫

そこから、マルコはいろいろな話をしてくれた。

マルコは私生児(?)らしく、屋敷の中では、ひどい待遇を受けてるらしい。

食べ物もろくにでず、一応公爵の息子だから服は豪華なのだとか。

だから、こんなに細いんだ。

まぁ、人のこと言えないけど。

現実逃避しながら私は何も言えなかった。

きっと、マルコも何かきっかけがあればいいはずだから。

そうしたら私みたいに。

ううん。私たちみたいに変われるはず。

何かを諦めずに済むのに。

「じゃぁさ、約束しないか?」

シリウスが突然言い出した約束は驚くものだった。

「俺たちが今よりもっと強くなって、世界中に名前を響かせる。そして、マルコが呼べば何処へでも駆けつける。マルコは俺たちを支援できるようにでっかくなってろ」

む、無茶ぶりだ。

「だから、俺たちは友達だ!!」

シリウス、いくら助けたとはいえ元・奴隷とは友達になってくれないよ。いや、このあざがあるからまだ奴隷なのか?

「本当に?」

マルコの驚いたような困ったような声が聞こえ荷馬車を止める。

振り返れば涙をぽろぽろ流しているマルコがいた。

え、なんで泣いてるの!?

私は戸惑いつい風魔法でマルコの涙を乾かそうとしていた。

「そ、それなら二人にお願いがある!!」

マルコは私の風魔法で乾かせなかった涙を拭うと、私の手とシリウスの手を取り言った。

「二人は行く場所がない。だから、スターは僕の侍女に。シリウスは、僕の執事に……。それはダメ、かな」

私とシリウスはお互いの顔を見ると笑った。

なんだ、もうきっかけできてたんだ。

「じゃぁ、俺たちは陰で強くなってマルコを守らないとな」

「元・奴隷も隠さないとね」

「え、、、それって」

「大丈夫、俺に任せろ!」

「大丈夫、私を信じて!」

2人息ぴったりといい、3人で笑った。

大丈夫、このメンバーなら何があっても。

きっと、大丈夫。

シリウスは人の心を救ってくれる。

私は、魔法が得意。

あと、両親が言ってたけど愛嬌もある。

マルコは怖い状況でも、堂々としてる。

私たちなら。

この3人なら、どんな怖い人でも。

大丈夫。

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