第7話 マルコ・レズ=アイリーン
「お、重い」
シリウスがぜいぜいいいながら、盗賊たちをぐるぐる巻きにして、荷馬車に運ぶ。
奴隷の時、重いのは運び慣れてるけど力を抜いた大の大人を運ぶのはさすがにきつい。
半分以上が逃げたけれど、残った人たちを捕まえて貴族に渡そうとなった。
私も風魔法で運ぶのを手伝う。
運び終わるとまた荷馬車を動かす。
「……君たちは何者なの?」
黙っていた貴族の子が話しかけてくる。
私とシリウスがお互いの顔を見合わせて笑う。
「俺はシリウス・アルナイル。こっちのアメジストの瞳にスカイブルーの髪がスター・ブルー。俺たちは嫌な運命から、逃げてきた子供だ」
そういって、シリウスは長い前髪をどかす。
そこには、奴隷の証である、あざがある。
私も、同じようにあざを見せる。
「!!!!!」
驚いたように目を見張る男の子。
シリウスの白銀の髪が風に揺れる。
男の子はとまどいながらも自己紹介をしてくれた。
「僕は、マルコ・レズ=アイリーン」
黒髪にエメラルドの瞳。
マルコはどこかきれいだ。
シリウスとマルコの瞳はそれぞれ真逆なイメージをもつ。
ルビーのように真っ赤な赤の瞳はシリウス。
エメラルドの瞳は悲しみを持ち、なおかつ自身の色。
ルビーは人の弱さ、醜さをしってなお強い色を放つ。
「君たちは、どうやって、逃げてきたの」
そっとうつむく。
私からは何も言えない。
これは私から言えるものじゃない。
私のせいでシリウスが……。
「……普通に逃げてきた」
シリウスがあっけらかんと言った。
そっと顔を見れば眩しいくらいにいつもの笑顔で。
優しく頭を撫でてくれる手はあたたかくて。
これからは、私がシリウスを守る。
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