第5話 二人の作戦

私が起きるとシリウスは先に起きていた。

ずっと、上を向いている。

真剣な顔して。

私の頭にコートをかけて何かから隠そうとしてる。

そっと茂みの中からのぞくとそこにいたのは、盗賊だった。

さいやくだ。

「スター、あいつら、人を攫ってるみたいだ」

いわれなくても、見ればわかるよ。

「多分、貴族の子だよね?あの服装」

豪華な服装で怯える様子もなく堂々としている。

「どうする?助ける?」

シリウスに一応聞いてみる。

どうせ、答えは決まってるだろうけど。

「もちろん、助ける」

やっぱり。

どうやって助けるかを二人で話し合う。

「よし、作戦通りに」

二手に分かれて各々の仕事をする。

シリウスが誘拐されてる男の子に近づき、私が大きな声を出す。

とりあえず、小枝を組み合わせて火を作る。

なるべく息をたくさん吸い、叫ぶ。

「キャーーーーー!!!山火事よ!!誰か助けて!!」

そういいながら、火を移した木の束を盗賊に向かって投げつける。

盗賊たちが戸惑っている間に私が適当に炎を広めていく。

「やべ。逃げろ!!」

「火が回ってきた!!」

「おい、ガキがいねぇぞ!!」

「ほっとけ!!それより、命が優先だ!!」

あらあら。

荷馬車ごと置いて行っちゃった。

「ねぇ、シリウス。いっちゃったよ!!」

「やべ、ここまで焦げ臭い。早く、火を消して逃げるぞ!!」

二人で笑いながら火を消していく。

貴族の子は不思議そうにみてるけど。

そんなの気にならないくらい大人に勝てたことが嬉しかった。

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