第3話 一緒に

「もう、大丈夫か?」

私はこくりとうなずく。

優しい手つきで頭を撫でられる。

「ここにはもう、いられない。外に出るぞ」

彼に支えられ、息苦しい地下室の外に出る。

「ちょっと、ここで待ってな」

彼はそういうと中に戻る。私はただ、呆然と空を見ていた。

キラキラと輝く星空。

手を伸ばせば届きそうで。

星を掴めそうで。

私、ここで死んじゃうのかな?

そしたら。

そしたら、お母さんお父さんに会えるかな?

それなら、もうこんな苦しいの消える?

目をそっと、閉じる。

すると、足音が聞こえた。

目を開けばそこには、彼がいた。

「よし、行くぞ」

大きな荷物を抱えて彼は言う。

何処へとは言わなかった。

ただ、伸ばされた手を握って。

傷だらけの足に包帯を巻いて。

靴を履いて。

おんぶされて後ろを見れば、奴隷紹介所が燃えていた。

「大丈夫。他の奴隷はみんな、逃がしてある。あとは、あの腐った大人だけだ」

彼は私の視線に気づいたのかいう。

淡々と語る振り返り微笑む。

「一緒に逃げようか。この残酷な世界から」

暖かい背中。

優しい言葉。

一緒にいてくれるの?

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