第5話お客様第一号⑤

 手の平に乳首が擦れるたび、マリアが体をビクンビクンと痙攣させる。巨乳の先端が次第に固くなりプクっと膨らんだ。

「あぁぁぁ……擦るのダメぇ! あぁんっ」

 マリアは再び体を大きく震わせ、脱力してハルトにぐったりともたれかかった。


「スキャン完了。今から戦闘用ブラを仕上げる」

 ハルトがベルトに装着していたバックから裁ちばさみを取り出した。マリアの外したベーシックモデルのブラに躊躇なくはさみを入れていく。ハルトの手の動きにまったく迷いはなく、的確かつ大胆にはさみを捌く。

「よし、型は決まった。次は縫製だ」

 針と糸を取り出し、ハルトが手際よくブラを縫い始めた。徐々に手のスピードが上がっていき、針の動きは目で終えない領域へと達した。

「う、うそ。なんて速さなの……」

 マリアが縫製スキルに驚愕し、言葉を失う。

 マリアの目の前で戦闘用ブラがみるみるうちに仕上がっていく。

「うん。完璧だ」

 ベーシックモデルから戦闘用ブラを仕上げたハルトが満足そうにうなづく。

「それが、戦闘用ブラなの?」

 ゆっくりと立ち上がったマリアが顔を近づけて尋ねた。

「ああ、機能的には戦闘用ブラだ。でも、まだ完成じゃない」

 ハルトが両手にブラを乗せて目を閉じた。

 ブラがぼんやりとした柔らかな光に包まれていく。ベーシックブラの白い生地のまま縫製された戦闘用ブラに、鮮やかな色が浮かび上がった。

 やがて光は消え、ハルトが目を開けてブラを見つめる。

「マリア専用の戦闘用ブラ、完成だ」

 マリアにそっとブラを手渡す。

「これが私の戦闘用ブラ? すごく綺麗」

 マリアがうっとりした表情でブラを眺める。


 ブラには葉っぱをモチーフにした鮮やかな刺繡が施されている。黄緑色の爽やかな色彩を基調としてブラ全体を彩っている。


「さあ、着けてみて」

 ハルトに促され、マリアが戦闘用ブラを着けた。

「すごい! さっきのブラもピッタリだったけど、それ以上にフィットしてまるで体の一部みたい!」

「少し動いてみて」

 マリアがピョンピョンとジャンプする。

 Iカップの巨乳が上下にタプンタプンと大きく揺れた。

「えっ! なんで!? 胸が揺れてるのに動きにくくない」

「今度は走ってみてくれ」

 マリアが全力疾走すると、メロンサイズの巨大な乳房が上下左右にブルンブルンと揺れた。

「こんなに胸が揺れてるのに全然痛くない。どうして!?」

 マリアが目を丸くしてハルトに顔を近づける。

「マリアが最初に着けたベーシックブラは、物理的にバストとブラがずれないように出来てるんだ。バストの正確な寸法に合わせて、フィットするようになってる。今着けてる戦闘用ブラは、俺がスキャンしたマリアの胸の情報を数値化して、魔法で補正したもの。装着した際の違和感をなくし、自然な胸の動きのまま、反動や摩擦、衝撃といった要素を限りなく0に近い状態へ魔法的に緩和しているんだ」

「えっと……なんか難しいけど、とにかくすごいってことだけは分かったわ」

 マリアが苦笑いする。

「この綺麗な刺繍にも意味があるの?」

 マリアが目を輝かせて尋ねる。

「綺麗なものに意味なんて必要ないよ」

「えっ?」

「師匠が言ってた。『戦闘用ブラに必要なもの、それは機能性と美しさ』だって。機能性は身体を、美しさは心を強くするんだ。俺の勝手なイメージなんだけど、冒険者ビギナーのマリアは、これからどんどん成長していく若葉みたいだなって。だから意味と言うより、俺の思いみたいなもんかな」

 ハルトが少し照れくさそうに指先で鼻を掻いた。

「ハルト、ありがとう。この若葉の刺繍はハルトの思いが込められてるんだね。すごく素敵」

 マリアが満面の笑みを浮かべた。

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