君の好きな歌を歌う

遥香

遥香の日記

【5月6日】

「下手な歌」だった。

なのに素敵だと思った。

そして不思議なことが起きた。

これはどういうことだろう？

思わず「また来ます」なんて言ってしまった。

もう一度聞きに行こうと思う。

【5月13日】

「やっぱり下手」

でもやっぱり不思議なことが起きる。

もしかすると彼がそうなのかもしれない。

希望の光。

【5月20日】

今日は彼が声をかけてきた。

「かまわない」

ついそう返事をしてしまった。

まだ殆ど何も知らないのに…。

分かっているのは、彼の歌には不思議な力があるってこと。

【5月27日】

好きとは違うと思う。

居心地が良いとか、助かってる…？

そんな感じ。悪女。

【6月3日】

もうすぐあの日が来る。

彼方くんの歌が聞きたい。

【6月6日】

怖い。影が怖い。私は…

そこまで読んで僕は手を止めた。

浮かれていた僕と、ハルカの温度差が少し辛かった。

そして何より…

【6月6日】の彼女の日記が、僕をとても不安にさせた。