第2話

 目覚めた。刺された。消えた。


 再度、起きた。

 今度は、子供部屋だ。

 辺りでは、信じられないほど巨大な、おもちゃの機関車が走っている。


 ・・・目が覚めた。

 僕は、木で出来た線路の上にいる。

 目の前には、黒煙を噴出し、

『ブオー』

 と死する獣の様な唸り声を上げる、木製の機関車が走ってきた。


「あぁあぁ!」

 叫び声を上げたが、

『グシャ』

 小さく、弾ける音が響くだけだった。


 起きた。辺りは、

『シーン』

 と静まり返っている。


 突然、

『ゴー』

 とガスが漏れる様な音、臭いが充満した。


「うぅぅうう!」

 今更気づいたが、僕は、椅子に縛られ、口に布を巻かれていた。

『シュボ』

 の様な音と共に、小さな、小さな、灯火が生まれ。

 爆発と共に、僕の意識は消えた。


 また目覚めた。今度は、駅のホームだ。

 電車が到着するアラームが響く。

 辺りには、誰もいないというのに、喧騒が響く。

 僕は、押された。

 辺りには、怒号が響き渡る。


 カメラを向ける人々。驚く人々が見え。

 押した人間が、嘲る様に笑った瞬間。

 僕は、弾けた。


 目覚めた。

 僕の首には、縄がかかっている。

 ・・・・

「ぐぅぅぃぅううぅ」

 うめき声が響き、

『ボキっ』

 無情な、乾いた音が響いた。


 覚めた。

 学校に居た。

 見知らぬ学校だ。


『パン』

 冷たい、人の髄を凍らせる鋭い音が響き渡った。

 僕の服は、腹を中心に、同心円状に、赤く、紅く染まっていった。


「あああぁ!あぁああぁあ!」

 声を漏らす。

『ヒソヒソヒソ』

 周りから、小さく笑う声が聞こえる。


『パリン』

 窓が割れる音が響き、再度、銃声が響いた。

 そして、僕の足は弾け飛んだ。


「うわああぁあ!痛い。いらい!痛い!」

 声を漏らす。目に前からは、散弾が飛んできた。

 両方の腕が吹き飛んだ。残っていた足が吹き飛んだ。


 血が、とめどなく吹き出す。

 これほど、人体には詰まっているのかと驚くほどに。


 そして、再度の銃声により、だるまの頭は、消し飛び、脳髄を、脳みそを、頭蓋骨を弾け飛ばし、冷たいタイルを彩った。


 目覚めた。

 今回は、山の上にいた。

『バサバサ』

 土を掘る音が聞こえる。


「うぅうkうt」

 口を縛られているせいで、うまく発生ができない。


「くひひひひひ!」

 辺りに、笑い声が木霊した。

『バサバサバサ』

 笑い声に驚いたのか、鳥達が飛んでいくは音が響く。

 その音は、僕の精神を恐怖に落とした。


「うう!ぅぅうう!」

 声を必死に出して、助けを乞い願いう。

 誰もこない。誰にも救われない。


『パキパキ』

 枯葉を踏む音が響いた。


 そして、僕の眼前には、薄ら寒い、狂気の笑顔を浮かべた男が立ち、僕を持ち上げ、掘られた穴に投げ込んだ。

「うぅ!うう!うぅう!」

 うめき声をあげる。救いを求める声を出そうとしたのに。


『バサバサバサ』

 土が降ってくる。

 それは、まるで、雨の様に。

 それは、まるで、こうなるのが宿命である、と言った奇跡を描き。

 そして、僕は、埋もれた。冷たくて、厚くて、暗い土の層に。

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