忙しい日々
建比古がコノハに求婚した日のうちに、皇宮に居る近親者や友人に、建比古はコノハと共に婚姻の報告をしたのだった。
まず、業務の合間に早急で、建比古の両親である
また、近いうちに、建比古はコノハと共に彼女の両親に会うことになった。雪が積もる時期が来る前に、コノハの故郷である
それから数日後には、建比古……と言うより
休みの日には、コノハは慣れない重い
ちなみに、
婚姻の報告や挨拶等がひと通り終えると、冬らしい寒さが
建比古の計らいで、コノハは仕事と親戚付き合いの疲れを取るための連休を
休みの日、部屋で昼食を食べる前に、コノハは彩女から直接給料を手渡しされた。仕事用の
「自分の部屋にある金庫にしまってもいいし。……もし預金したかったら、皇宮の大金庫も借りられるから、また言ってね」
コノハはいつも通りの明るい返事をしたが、手持ちの銅貨の重さにかなり圧倒されたようだった。
(薬畑山で働いていた時より、十倍以上の給料やんっ!? これなら、お父ちゃんにもお母ちゃんにも、送る用の絹の寝巻き、すぐに買えるなっ!)
皇宮から支給された絹製の寝巻きをコノハは気に入っていたので、上記のように思ったのである。
どこで寝巻きを購入できるかを、彩女に後日聞こうと考えた後、コノハはひとまず給料を自室の金庫の中に入れた。
食台の前でコノハたちが昼食を食べ終わった時、部屋に誰かが入って来た。
「改めまして……コノハさん、結婚おめでとうっ!!」
シマを抱っこしながら、篤比古がコノハの近くに行った。シマは嫌がらずに、大人しく建比古の腕の中に居るようだ。
昼食の膳を移動させる前に、コノハは立ち上がって、篤比古にお
「……あ、ありがとうございますっ、篤比古さま」
「それにしても、今回の兄さんは予想外過ぎたよっ! 武術馬鹿の仕事人間な上に、老け顔で威圧感ものすごくて、たまに若い女官の子たちが遠巻きに
控えめで誠実そうな篤比古の別の一面を知り、成人したとはいえ無邪気さもあるのだな……、とコノハは感じたのだった。
一方で、いつも穏やかな白人は深く溜息をついた後、珍しく
「篤比古様……。今のは、流石にちょっと言い過ぎですよ?」
「……おっと、ゴメンナサイ……」
白人はやんわりと篤比古を
「まあ、建比古様がそこまで考えていたのには、俺も分からなかったな……。確かに時々、衝動的に動かれてところはあるけど、皇太子候補として
……だから、きっと君も好いてくれたんだよね?」
「……はい」
皇宮内でイザコザがあったというのは、コノハも容易に想像できた。
それに、まだ確証は無いが、コノハは建比古のことを想っている、という自覚は少しだけあった。数日前に建比古から求婚されて、承諾した後に抱き締められたことをコノハはふと思い出したようだ。
(抱き締められた時はもちろん恥ずかしさも感じたけど、嬉しい気持ちもちょこっとあったから、たぶんわたし……建比古さまのこと、好きなんだろーな……)
……と、突然、篤比古に抱えられたシマが「ニャー、ニャーッ!」と大声で鳴いた。手足をもぞもぞと動かしているので、床に降りたいようだ。篤比古がシマを床に放すと、再び大きな鳴き声を出した。
「はいは〜い、ゴハンが欲しいんだね?」
そう言うと、篤比古は戸棚から魚のアラが入った器を出した。昼食の膳を運んだ女官が、シマの昼食も持ってきたらしい。
(でも……、兄さんが自分の『幸せ』に目を向けられたことで、皇太子になった僕に対する変な罪悪感を吹っ切れたのなら、本当に良かった……)
篤比古が心中で
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