5話目変われない、変わりたい

ミハナ

5話目変わりたい、変われない

居た堪れなくなって教室から飛び出す。

次の授業の予鈴がなって、周りがちらほらと僕を見るけど、気にしない。

美術室の保管庫まで辿り着いて、室内に身を滑らせた。

油絵の匂いが心を落ち着かせてくれる。もう、ここで授業サボってしまおうか。

アイツの教室の授業は、体育だ。真っ先に向かったに違いない。

僕は体育は昔から苦手だった。

それよりも美術室で絵を描いてる方が好きだった。コンクールには引っ掛からなかったが、アイツは僕の絵を好きだと言ってくれてたっけ。

お世辞だと思いこんだけど。

乾いた油絵の表面をなぞり、キャンバスの海に体を蹲くまらせた。

ああ、落ち着く。

学校の喧騒とは遠い場所だ。

やはり付き合っても僕はアイツみたくはなれないんだ。

アイツは、幼馴染みだから付き合ってくれてるだけなんだ。

マイナス思考が加速する。

そっと頭を抱え、体育座り。

やはり、ヒーローは僕には過ぎたる存在だったんだ。

しかも、独占したいとか、引かれるに違いない。

本鈴のチャイムが鳴った。

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5話目変われない、変わりたい ミハナ @mizuhana4270

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