第2話 武藤 空


【ダンジョン】。


上層から下層までは、それぞれ3階層ある。



『探索者』にはレベル認定があった。


レベル1:ここからスタート。誰でもなれる。


レベル2:上層の1、2階層を探索できる実力。


レベル3:上層の3階層を探索できる実力。


レベル4:中層の1、2階層を探索できる実力。


レベル5:中層の3階層を探索できる実力。


レベル6・レベル7:下層以降を探索できる実力。超人。






僕の名前は、武藤 空。(むとう そら)


高校3年生の18歳。


ごくごく普通の一般家庭で育ち、妹が二人いる。父は普通のサラリーマンで、母はパートをしながら僕達の面倒を見てくれている。


身長は173cm。いたって普通です。


体重は60k。結構細身だ。食べるんだけど、あまり太らない体らしい。


はっきり言おう。


僕はいたって普通。・・・・・マジで普通なのだ。




最初に言ったように、僕はインドア派。


鍛えているわけじゃないから細マッチョじゃなくて、ただの細身。


運動するとスッキリすると親友達はいうけれど、疲れるのは嫌いだ。


まぁお前達の運動は、運動とは言わないけどな!


顔も客観的に見ても普通だと思う。今までで一度もモテた事ないし。



完全に、どこにでもいる普通の高校生。



そんな僕が何でトップクラスの日本最年少探索者チームのリーダーをやっているのか。




それは僕が小さい頃にさかのぼる。


幼い頃からずっと一緒に遊んでいた5人の友達。


幼馴染であり大親友だ。


そんな親友達の前で小学校の低学年位の頃に、僕が放った一言。



「ねぇねぇ!昨日テレビで観たんだけどさ!『探索者』って強くてカッコイイよね!!」



アニメを観たり、戦隊物を観たりする年頃。



子供は強くてカッコイイ、ヒーローに憧れたりする年頃。



分かるよね?・・・・・分かりますよね?



何気なく僕が放った一言。



次の日から、親友達は


「「「「「 カッコイイ『探索者』を目指すぅぅぅぅぅぅ!!! 」」」」」


とか言い出して・・・・・・そうしてここまできている。




意味が分からん。




意味が分からんよね!!!





もちろん僕も最初は言った手前、付き合おうとしたのだが、運動をするのが嫌いだし、痛い思いをするのはもっと嫌いだからすぐに断念。


そして現在に至るわけだ。


探索者チームの登録をする時に親友達は僕も入れようとするから、もちろん断ったよ?


でも皆が痛い思いを絶対にさせない様に守るからって・・・・・泣きそうな顔をして言うんだもん!



そりゃ登録するさ!



しかも勝手にリーダーにされてるし!!!

そりゃ登録した時はカッコイイ肩書だからまんざらでもなかったけどさ!


でも僕は戦うのはやだし、痛いのはもっとやだ。


だからもちろん今も『レベル1』だ。


そんなお荷物の僕なのに、必ず探索すると報酬を均等割りにしてくる親友達。



流石に受け取れない。



だって何もしてないんだもん。



納得しない親友達。



でも、行動を共にして一緒の時間を過ごしているのに、何も得れないのは流石に僕もキツイ。



だから提案したんだ。



報酬は受け取れないけど、動画を撮らせてくれってね。



上層の動画はよく見るけど、中層以降の動画はほとんどない。ましてや下層の動画なんてゼロだ。


それは、動画を撮影するのに人材が必要だし、中層以降は当たり前の様に死人が出るとても危険な場所。


しかも、中層以降は高値で売れる未知の素材や物が豊富にドロップできる。


だから、わざわざ動画を撮って収益をあげようなんてことは、トップチームは思わない。


それよりも遥かにドロップアイテムを売った方が利益になるからだ。



ほとんどアップされていない中層以降の動画。



そして新進気鋭の最年少チーム。



話題としては申し分ない。



だから動画の収益で稼ごうと思ったんだ。



一緒に行ってもやる事ないしな!



そして、動画を撮り始めて半年たったけど、結構いい収益を上げている。






「ムフフフフフ・・・・・。」


「何だ?変な顔して笑ってよ。キモイぞ。」



サトルがチャチャをいれる。



出だしは好調だ。



次のステップは、【投げ銭】機能を使おうと思っている。いわゆる【スパチャ】だ。



その為に、今週のライブ動画からは、メンバーの下層ソロ攻略動画をやる予定だ。


視聴者のファンを拡大させる為には、個人をアピールする事は必須。


ここで更にチャンネル登録を増やして・・・・・目指せ100万人だ!




「フフフフフ・・・・・ハ~ハッハッハ!見える、見えるぞ!ビクトリーロードが!!!」


「・・・・・ソラ君。もうホームルーム中だ。静かにしなさい。」


「すみません。」


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