普通の一般人がトップクラスの探索者チームのリーダーをやっている件について
もっさん
前編
第1話 星空
「おっはよ~!」
「おはよ~。」
「おっす~!」
「はよ~。」
「ねぇ。ねぇ。昨日の観た?」
「なぁ・・・・・昨日の観たか?」
「観た観た!それで・・・・・。」
「ふぁぁぁぁぁぁ。」
月曜日の朝。
高校のホームルーム前のひと時。
皆が登校して騒がしくなってきた時、少し早く先に教室に来ていた僕は、自分の机にうつ伏せになって大きな欠伸をかいていた。
昨日は色々とやる事があって、寝たのが深夜の2時頃。
完全に寝不足だった。
そこにやってきた友達が、元気よく僕の肩を叩く。
「ソラ!おぃっす~!!相変わらず月曜日は眠そうにしてんなぁw」
「・・・・なんだサトルか。」
「何だはないだろ。何だは。」
こいつは、山口 悟(ヤマグチ サトル)。
高校に入学してから、何故かずっと席が近かったせいで、こうやって時間がある時はいつも声をかけてくれる学友だ。
今、僕達は3年生。
サトルはサッカー部でキャプテンをはっている。男子にも女子にも人気があり、いわゆる陽キャだ。
何かと気にかけて話しかけてくれるいい奴だ。ここまでくると友達と言っていいだろう・・・・・友達だよね?
・・・・・しかし僕は、アニメやマンガ、ゲームをこよなく愛するインドア派の男だ。
まぁサトルがいるおかげで、このクラスでは陰キャ一歩手前という立ち位置でいられている。
「んで?僕は先生が来る前のわずかな時間を、とても幸せな睡眠にあてたいんだけど。」
サトルは前の定位置の席に座ると楽しそうに話しかける。
「まぁまぁ。昨日は俺もライブ動画観たぜ。めっちゃ興奮したよ!!」
「・・・まじで!!!?」
僕はガバっと起きると、サトルの言葉に勢いよく返事をした。
今から20年前。
全世界で大地震が発生し、突如として現れたとてつもなく大きな洞窟。
【ダンジョン】。
そこには地球に存在しない未知なる物が多数存在していた。
『ソレ』は未知なる物。
地球で存在しない素材や物質だったり、飲むだけでどんな傷や病でも治す物だったり・・・・。
現代の技術では到底作り出すことが出来ない『ソレ』を各国は求めた。
しかし、【ダンジョン】には見た事のない怪物・・・・モンスターがはびこっており、入る者は多大な犠牲をはらった。
それでも各国は人を送り込んでいると、その中で生き残った者達は、しだいに体が強靭になり、通常の人とはかけ離れた遥かに人を凌駕した肉体と能力を手に入れた。
これが『探索者』と呼ばれる者達が誕生した瞬間だった。
【ダンジョン】は世界で9ヶ所しか存在しない。
ダンジョンがある国が探索し、『ソレ』を独占することになると、世界のパワーバランスが崩れてしまう。
逆にダンジョンがない国が奪おうと戦争をおこしかねない。
それを恐れた各国は、全世界の首脳を集め、【ダンジョン協定】が結ばれた。
ダンジョンがある国は、ある程度の恩恵は受けるが、資格をもった『探索者』は他国の者でも拒絶する事は出来ない。
世界平和を維持する為に決められた協定だった。
その【ダンジョン】がある国の一つが日本である。
「いや~!中層のモンスターをあんなに簡単に倒すんだもんなぁ!強すぎるだろ!日本のチームじゃ最強なんじゃね?【星空】!!!」
「うん。うん。そうだね。」
僕は嬉しそうに興奮気味に話すサトルの話を聞いていた。
周りをさりげなく見ると、他の同級生達も昨日の動画の話で盛り上がっている。
フフフ・・・さりげなくクラスの皆には、【星空】を事あるごとに聞かせたからな。
ロビー活動をして成果が徐々に出始めている。
反応を見るに、昨日のライブ動画も編集動画も大成功だったようだな!
ハッハッハッハッハッ!!!
昨日は帰ってからすぐに動画を編集してアップするのに時間がかかって、自分の事をするのが夜遅くになってしまった。
サトルの話を聞いていた僕は、寝不足でもやったかいがあったと満足した。
「でもよ~!すげぇよなぁ~!あの強さだと中層は全然問題ないじゃん。下層も・・・・・いや、ぶっちゃけ【深層】も行けんじゃね?」
「ははは。」
僕は笑いながら相槌をうった。
【星空】。
半年前。
突如として現れた新進気鋭の6人パーティ。
ダンジョンは基本、【上層】、【中層】、【下層】、【深層】の4層に分かれている。
下の層へ行けば行くほどモンスターは強くなり、ベテランや名の知れた探索チームでも中層まで。
下層からはトップクラスのチームでも命を失う程、危険が伴う。
『人外』と呼ばれる者でないと足を踏み入れる事は出来ないと言われているのだ。
そこを最年少の現役高校生チームが、圧倒的な力で下層を攻略した。
そして、その道中。中層の攻略動画がアップされた事で、大きな話題となった。
その後、数回程、中層攻略動画があげられ、昨日は初めてのライブ動画も配信された。
結果。
注目を集め、チャンネル登録があっという間に30万人を突破。
今、トレンド上位は常に【星空】がいる状態だった。
「しかもさ!俺達と同じ高校生じゃん?それで『レベル6』だったり『レベル7』ってありえねぇだろ!!!最初はソラに勧められて観たけどさぁ~。今はすげぇ感謝してるよ!教えてくれてありがとな!もうすっかり【星空】の・・・・5人のファンだぜ!!!」
「ハハハッ。うんうん。そうかそうか。そりゃ良かった良かった。・・・・・・・5人じゃないけどね。」
最後は呟くように僕は答える。
半年前に突如として現れた新進気鋭の最年少チーム。
【星空】。
日本の探索者チームでは、間違いなくトップクラスのチームだ。
まだ初見の動画視聴者やあまり知らない人は、『5人』のチームと勘違いしている人は多い。
しかし、実際は・・・・・・・・『6人』。
【星空】は6人チームなのだ。
でも大体初めて動画を観る視聴者は5人チームと勘違いする人が多い。
何故ならば、動画には一切登場することはないし、他のメディアでも紹介される事はなかった。
・・・・・そのあまりにも知られていない一人は何を隠そう
僕。
そして、このトップチーム【星空】の・・・・・・リーダーだ。
毎回・・・・毎回、毎回・・・・・毎回、毎回、毎回・・・・・毎回、毎回、毎回、まいかぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!・・・・・思う。
何で僕????????
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あとがき
読んで頂きありがとうございます!
久しぶりに新作書きました!
今回も完結まで駆け抜けようと思ってます!
何かない限りは、毎日1話アップする予定です。
今後も応援よろしくお願いします!
PS:星やレビューを頂けると作者は泣いて喜びますw😭
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