第25話

 実験によって生じた重みを完全消滅する法則、ギミックに夫は気づいていた。息子と同じようにゆがんだ顔の男と呼ばれた重みも、夫の前に現れたそうだ。少年2人への殺意は消え、その時は1日でも早く、Aを牢屋から家に帰してやりたいという気持ちになっていた。

 その重みは願いを既に叶えていた。Aと夫は自宅の電話の通話記録からアリバイが証明され、共犯としての役割がなく無罪、釈放となった。今までなかったものが、書類やデータ上に現れたというわけだ。その件で多くの警官が辞任し、違法な取り調べをしていた者は世間からのバッシングに耐えられず数年後に首を吊った。

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