第34話 |奈落《アビス》入口
ダッキとエルザがジオンの隣の部屋に引越してきた。
壁が板だけの安宿だから静かに眠れば良いのに
ルナが板の裂け目からのぞいた。
「お前、ヘクトルがいなくなって久しぶりなんだから聞こえないふりして寝ろょ」
「おお凄い。
エルザがツルで縄のように縛っているニャア」
「趣味は人それぞれだ」
「太いクキをより合わせて
お姉様なんて言うから、ダッキがタチでエルザがネコかと思ってたら逆だったみたいニャア」
「お前、異種族のセックス見て楽しいのか」
「海賊船に乗っている時、ジュゴンが人間と性器が同じだから引き上げて、みんなで
「そりゃ、ジュゴンも嫌だったろう」
「おや、攻守が入れ替わってる、2人とも貫き合っている、エルザが支配の指環をしている」
「合意の上で使う分にはいいんじゃない。
俺は聖人ではないから悪魔の道具は使うなとは言わないさ」
「まるで獣の様に唇をむさぼりあっている」
「女は男と違ってエンドレスだ。
明日は早いぞ、もう寝たらどうだ」
男の方も勃起を維持するマジックアイテムがある。
「分かってないニャア。
あの2人。
ジオンの事を誘っているニャア。
間に入ればいれてくれるニャア」
「ダッキはともかくエルザは俺の事を嫌っているぞ」
「分かってないニャア。
同質の者は反発して、異質の者は惹かれ合うニャア。
チムチムを使ってみたらどうニャア。
女はいけない口ではないんだろう」
「剣士は
「彼女の方はOKニャア。
なんで縛りをかける」
「前世からの因縁とはいえ、何も知らないのにいきなり抱く訳にもいかないだろう。
60年も立つと他人の人生について色々考えるようになる。
チムチムの勘違いや思い込みでないと言えない。
時間を置けば冷静になって、自分の心と対話できるだろう」
「年を取ると恋愛に臆病になるニャア。
多くの若い奴は恋愛相手の気持ちなんて考えないニャア。
コイツ。俺に気があるぐらいニャア」
のぞくのをやめてベッドにはいった。
ダッキ達の声が響く。
朝起きるとみんなで一階の食事をとるために順々と集まりだした。最後はダッキとエルザのペアが降りてきた。
真水と堅パンにオートミール。
メリルがエール酒に変えた以外、全員文句も言わずに食べた。
現代人は舌か肥え過ぎて餓死してしまう。
ミスリル製の
チムチムは魔法を阻害する隕石鉄の胸当てをつけていた。
マルスは運搬用に連れて行く。
本人も「置いてきぼりなんてイヤですょ」と言っている。
普通の馬と違って狭い所を怖がったりしない。
向こうからヨハン達暗黒魔道士一行がやってくる。
3人が深く一礼する所を見た。
こちらはチムナターが軽く手をふる程度。
「案内人はサルディーラの関係者ですか」
ヨハンが聞いてきた。
「まあ、そんな所だ」
ジオンが言葉をにごすとそれ以上追求はしてこない。
「お互い初対面だし、紹介しあってょ、どう呼べばいいか把握しといた方がいいだろう、ベルは初めてだなコイツか袋猫のルナだ」
「よろしくニャア」
「そうですね、私の名はヨハン。
このパーティーのリーダーです」
初老のヨハンが一礼する。
「こちらの若者はダビデ、魔術も使えますが多少剣も使います」ダビデは一礼する。
「こちらのサキュバスがサロメ、時間があれば
「彼女は
「この魔女っ子はチムナター。魔術師です。
我がパーティー最強火力です」
チムナターが一礼する。
ベル達3人はていねいにそれぞれ返礼した。
「彼女は
女性は小さいですけど
必要なら
心の声を盗み聞きされる心配はありません。彼女が
ディーネは一礼する。
暗黒魔道士達も返礼した。
「彼女はリザードマン。
まぁ、見れば分かりますね。
ウロボロス族のヤルナ。
ヤルナとお呼び下さい」
ヤルナは一礼した。
「そして私は闇の聖女のベル。
このパーティーのリーダーを努めています」
ベルが一礼する。
暗黒魔道士達が返礼する中、チムナターか1人声を上げる「えー、このチビがリーダー!」
「何言ってるゾナ。
ジオンの初めての女ゾナ。
我々よりう〜んと年上ゾナ」
「えー、この
人には大人になったらとか言っていながら、自分はこんな幼女を権力を傘に
「
私から誘ったんです。
完全に合意の上です」
「聖女なんて
「そうですね、
アレっきりしていませんわ。
クモの巣がはってます。
セカンドヴァージンです。
それにまな板ではありません。
微乳です。
これでも需要はあるんですょ」
「こっちは20才まで生きられないのに、
こんな美少女の姿で永遠に生きれるなんて。
ソフィアか運命かなんて不平等なんだ」
「20才まで生きられないとはどういう事だ」
ジオンがヨハンに聞いた。
「彼女は魔王創造の為の実験体。
交配自体、優生学に則った物で、母体にいる頃から魔法実験や薬漬け、産まれるまでに半数は死にます。
10歳になるまでに更に半数が死にます。
成人した個体はいません。
今の所はね、チムナターも元気にしてますが投薬をやめれば魔力暴走の負荷に耐えられないでしょう
どんな細菌やウィルスに弱いか分からない中、旅に連れ出した。初の実験体なのです」
「大人になればなんて残酷な事を言ったな」
「知らなかったのでしょう。
我ら暗黒魔道士の宿命ですから。
ソフィアがスラムにいる子供らに手をさしのべるのも我ら暗黒魔道士に捕まって生贄にするのを阻止するため。
我らは貧者から赤子を買うことでしか入手できない。悪魔は高貴なる魂が恐怖や堕落する味を好みますから聖書を読ませて道徳的に育てます。
才能のある子は暗黒魔道士が弟子に取ります。
私のように。
非情で冷酷だとお思いですか?」
「俺も国家もアンタらを責めれる程、清浄なる生き方はしていない。
そんなに短くしか生きれないならチムナターに言っといてくれ、初潮が来たなら俺で良ければ女にしてやる」
旧教において結婚できる年齢は男は仕事を覚えて結納金が払えてから、女は初潮がきてからと決まっている。
ジオンは旧教の洗礼も受けているし、今更新教に鞍替えする気もなければ、立場でもない。
「伝えてはおきますが本人が決める事です。
初恋や胸がキュンキュンするなんて、あの歳の娘がかかる
真剣に考えなくてもよろしいのでは。
それに実験体だから生理がくるかどうかも分かりません」
ベルが「それでは皆さん。
お互い自己紹介も終わった事ですし、では参りましょうか」
鈴を鳴らして歩き出した。
「あの女、前から妙な余裕を感じるゾナ」
「1番年を食ってるからだけじゃないヨナ。
ジオンに対して負けてないというか」
チムナターが答えた。
スーとベルがメリルに近づいた。
「メリルさん、よろしいですか」
「あなたは王子の寵愛を獲得するレースに参加しないのですか?」
「私なんか特殊な才能ないし」
「モア様が初めて同士では上手くいかないと、性奴隷だけでなく、浮き名を流して高級娼婦上がりのシャルロッテ侯爵婦人に頼み込んで3人でプレイして、リリア女王にエロガキがと蹴り飛ばされていました。
リリア女王も腹は側室ですし、モア様はリリア女王のスパルタ教育に耐えかねて家出したと報告したから余り強く言いませんでした。
ジオン王子は複数の女性を愛せますよ」
「愛する?セックスできるの間違いじゃない」
「ジオン王子の奥さんリーンファ様は未だ生きておいでです」
「えっ」
「老衰で死にかけておいでです。
あの薄情者に一言言いたいと魔法的に頑張っておいでです。
ジオン王子にガンダーラの総督府に帰るように、あなたの口から説得して下さい」
「そんな物、情報部が報告すればいいじゃない」
「私達はもう終わった関係です。
『戦場に向かう時、別れなら済ませてある』と言われるでしょう。
死を看取れば心の中で本当に死んでしまう。
それが怖いんだと思います。
昔から大胆な所と臆病な所が偏在している人だから」
「なぜ私なの?」
「アナタが1番王子の心に踏み込んでいるから、
王子は奥様との間に子供が出来なかったから、自分が種無しではと勘違いしている。
ヴァンパイヤの子ダンピールが雑種第一代までですから、アナタの人生を歪める事を恐れておいでです」
「ジオンは子供がいるの?」
「本人は知りませんが、ノーマ帝国て出版業を営んでいる、モア様のライバル、カロ様の長女アルアルが髪の青い子供を産んでます。
第三王位継承者ですからサルディーラ王室が引き取って帝王学を学ばせたいと打診したのですけど、カロ自身オリアン国を失ってから、財をなした資産家でしたから、アルアル様は自分で育てると断ってきました。
ジオン王子にも内緒にしてくれと依頼されました。
ただリリア朝は脆弱で、この3人が死んだらリリア様の腹違いの兄弟の系図に移られる事になる。
チムチム様はラゴン。
チムナター様は実験体。
ダッキ様は妖怪。
考えて見ると
「私は子供を産む道具じゃないわ」
「言い方が悪かったですね。
愛の証を残したくはないですか?」
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