第26話 死闘
「この建物が幫の根城です」
トラップを回避して建物まで案内してくれた。
「ジョン。
我ら外道に落ちた身。
多くは語るまい。
裏切り者には死の制裁を」
両開きの扉を長髪の男が開けた。
後ろにはユウリンとシー・チン・ピンが控えていた。
誘爆の音を聞いた時に段取りしていた。
「パオロンのダンナ。
違うんです。
リュウ老師は殺されていて、ハーフオークのハンフリーの野郎が入れ替わっているんです。
真実を証明するために正義の
「戯言を…。
盗人猛々しいとはお前のことだな」
布を右手に一回巻いて、左手で他の部分を握り構えた。
「まあ、こういう物は何を語るかではなく、
誰が語るかに比重が置かれるから。
盗人の一言で動揺するような組織ではあるまい」
ジオンがジョンと立ち位置を入れ替える。
槍を持ったユウリンがジオンからみてパオロンの左側に来て槍を構える。
シー・チン・ピンが右側にきて呪符を構える。
ジオンの左側にチムチムがやってくる。
「オッパイの仇ゾナ」
「子宮の仇だ」
互いに武器を構えた。
シー・チン・ピンの前にはダッキがたった。
瞳が青白く燃えている。
ジオンが抜刀の構えをとった。
チムナターが触媒を使わずに
雷撃が3人に落ちる。
拘束の魔法なら身代わり符で打ち消されてしまう。
スリップは範囲魔法で使用する。
靴や武器に直接かけるやり方もあるが、
まだ乱戦にならないうちに、直接ダメージ系の魔法で全身にダメージを与える。
あわよくば殺してしまう。
それが開始のゴングになった。
パオロンが頭上で布を回転させ、傘のように雷を受けた。
ユウリンがチムチムにかけだす。
シー・チン・ピンがカメレオンのように姿を消した。
「気をつけて、あの中国人ステルスアタックをしてくる」チムナターがダッキに声をかけた。
雷を帯びた布が頭上で真っ直ぐ伸びジオンに振りおろされる。
ジオンは抜刀して切った。
ジオンが切り落とした布は柔らかいキレになって地面に落ちる。
「念法で固めた布を切り落とすとは、
凄いのは技か武器のどちらだ」
余った布を右手に引き戻した。
「見て分からんなら聞いても分からん」
ジオンは納刀した。
「ブラジャーをつけたんだな」
「優秀なラゴンは学習するゾナ。
あの時倒し損なった事を後悔するがいい」
何合か合わせてみたが、お互いにコレといったスキがないためイマイチ踏み込めないでいるし、奇襲をするには前回にお互い手の内をさらしている。
「リープスラッシャー」
エルザが手のスプレー状に葉がとびだした。
傷つけるというよりは、シー・チン・ピンにはりついて人型を現出させる。
3体の影のモンスターを放った。
ダッキの狐火がワンテンポ間に合わない。
チムナターは8本のマジックミサイルを現出させる。
火・水・大気・大地・雷・氷・光・闇と一個一個別々に融合されていた。
マジックミサイルは自動追尾であり、影モンスターに雷と水の組み合わせ、闇と氷の組み合わせ、火と光を組み合わせが激突した。
モンスターは回避行動をとるが、ミサイルにおいつかれて破壊される。
シー・チン・ピンには風のマジックミサイルが貫通武器ではなく切断武器として腹部に、大地のマジックミサイルは打撃武器として頭部に喰らった。
マジックミサイルは回避不能攻撃で叩き落とすかガードするしかない。
シー・チン・ピンは右手で腹を左手で頭をガードした。
単体で使えば何か当たった程度だが融合させる事で闇なら姿が見えない、光なら幻影を纏わり付かせるなど副次的効果を持たせるし、力場と融合する事で必ず当たる貫通矢になるし、刺さった矢は重力を変更でき、生命なら回復、死なら
壁や結界やムチや球体、ガスやシャボン玉やスプレーそして霊獣とも融合できる。
パオロンが布をドリル状に回転させてジオンに襲いかかる。
ジオンの側に来ると、逆ドリル状になって襲いかかった。
ジオンは抜刀して横一閃する。
拳に巻きつけてある以外の布は鮮やかに切断される。
切れた布はそれぞれの勢いに任せて散り散りになる。
ジオンが縦一文字に切り落とす。
「不知火」
左右の拳を両側に広げるとジオンの業物を白い木刀のような念法の造物で受け止めた。
パオロンは蹴りを放ったがジオンも膝でガードする。相手の勢いを殺さずに距離をとった。
パオロンが袈裟斬りにしてくる。
武器や鎧を貫通して、肉体や精神体を切る奥義が炸裂する。
「
白いエネルギー体が業物からほとばしり、受けれるはずのない念法の剣を受けた。
コイツ剣聖ダーヨの系譜。
今更戦いを止めるわけにはいかない。
再接近している。
口からジオンの眼に向かって含み針を放った。
ジオンは両目をつぶり、眉のでている骨で4つの針を全て受けた。
勢いに乗った、相手の重心を全て受け止めて空中へと押し返す。
空中ガードしか出来ない状態にして襲いかかる。
眼を閉じたまま斜めに一閃。
コイツ『心眼』も使えると感じた瞬間、ジオンの一閃で念法・不知火は砕かれ、左右の拳は斬り飛ばされた。
「グワああ」
苦しむパオロンに蹴りを放って距離を稼いだ。
「パオロン」ユウリンが叫んだ時チムチムが動いた。
「新・魔闘技」
ミスリル製の棍を闘技と共に放った。
ユウリンの全身は闘技によって押さえつけられ、棍は腹部に命中した。
腹部を押さえて倒れ込む。
チムチムは棍をムチに変えてユウリンの首に巻きつけて引き倒した。
「分かったアル。
抵抗を止めるから、これ以上戦うのはやめるアル。
ワシは雇われた傭兵。
パオロンのような忠誠心はないアル。
パオロンが簡単にやられた今、こちら勝ち目はないアル」
葉っぱにまみれたシー・チン・ピンが土下座する。
青白い狐火を周囲に8つほど展開して「まずは、姿隠しの呪文を解け、殺すか死ぬかを決めるのはそれからだ」
「生かす選択肢も下さいアル」姿を現した。
「チムチム。ダッキ。惻隠の情をもってあたれ」針を抜きながら叫んだ。
「惻隠の情ゾナ?」
「敵のプライドをおもんばかって、優しくして情けをかけろという意味だ。
俺たちは戦いにきたわけじゃない。
ハーフオーク・ハンフリーの野望をばくろしにきた、彼らも被害者だ」
チムチムはユウリンの首からムチを解いた。
ユウリンは呼吸できるようになり咳き込む。
「ジオンに感謝するゾナ、立場が逆だったら殺していたんだろう。
ジオンが止めなんだら殺していたゾナ」
「メリル。
パオロンの止血をしてやれ、
腕を治す必要はない」
針をとってしまうと、念のためマルスのアイテムボックスからニュートラライズ・ポーション(毒中和)を取り出して飲んだ。
「毒などない」
「念のためだ、お前らを信じていない」
魔法の指輪でメリルが止血する。
ジョンが斬り飛ばされた両の拳を拾う。
「敵の治療してどうするつもりだ」
「俺は組織を乗っ取る気も壊滅させる気もない。
生きるために犯罪に手をそめるが、こういった秘密結社が侵略者に対する互助組合で宗教組織に近い事を知っている。
リュウ老師というのがハンフリーに殺されているならアンタが組織を立て直さないといけない。
もはや戦う気は無いんだろう。
黙って後ろからついてきて、真実を自分の目で確かめてくれ。
俺達はチムナターに言われて、彼女の仲間を助けにきただけだ。
ハンフリーの野望の妨害は副次的ものだ。
新興宗教は外部との接触を断ち、父権的に支配しているが、少しは柔軟に自分の頭で考えろ」
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