第24話 追っ手
ジオン達の建物の屋根に何かが着陸する音がする。
「囲め」という声がする。
「何があった」
ジオンがチムナターを抱き上げた。
「魔力切れ」
チムナターは状況を説明した。
とにかく魔力が回復する、エリクサ・ポーションをアポートで取り寄せ口に突っ込んだ。
数秒で回復したせいかラッパ飲みしだす。
「ふ〜。効く」
全て飲みほす。
プハーと息継ぎする。
「ジオン殿、
助けてください。
世界の危機です」
チムナターがジオンの胸をつかんだ。
「おいおい、世界の運命を人質にとるば、俺が動くとでも、お前を引き渡して手打ちにするという選択肢もあるんだぞ」
「チムナター。
それじゃ分からない。
最初から話して。
売り渡したりしないから」
メリルがやって来た。
「我ら旧支配者の技術が諦めきれずにジオン殿の後をつけてきたんです。
この宝石人の街につき、秘密結社・幫にヨハンの知り合いがいて協力をお願いしにいったら、総帥のリュウ老師は殺され、チンピラのハーフオーク・ハンフリーと入れ替わっていたんです。
その目的は幽界に吹き溜まっている、2億体あるオークの魂を入れ替えたり取り憑いたりすること。
どのくらい入れ替わりが進んでいるか分からないけど幫全体も掌握できていない。
このまま、見過ごせばヨハン達は確実に憑依させられる。
貴方方の探索の手伝いを無償でするから助けて」
「チムナター、俺たちは霊のエキスパートはいないぞ」
「除霊ならなんとか出来ますが」
「アナタ暗黒魔道士を助けるの!」
マントだけを羽織ったドライアドのエルザが詰問した。
「俺は聖人じゃない。
原理原則主義とは解離している。
状況が変われば対応も変える。
悪魔にもソフィアにも手を貸すさ」
窓から様子を伺う。
チムチムやルナが後に続いた。
「あゝ、もう」
と言いながらジオンの後ろにエルザは隠れた。
「結局、手を貸すんだ」
ダッキも反対の壁に隠れた。
「そこまで、恩知らずじゃありませんわ」
赤い鎧を着たサムライが1人、青人が1人、陰陽師が1人、忍者が1人あとは屋根に何人いるか?
ざっと見積もった。
女1人と思ったのか無警戒にやってくる。
「気を付けろ、凄腕の魔法使いだ」
屋根から声がかかった。
赤備えの『風林火山』と書かれた旗差し物を指したサムライが刀を抜いた。
扉を開けた時、チムチムが襲いかかる。
闘技・正拳突き
鎧が変形して後に吹き飛ぶ。
「どうする、うって出るか」
チムチムがジオンに聞いた。
「いや、まて、まだ交渉できるかもしれん…」
チムナターが大きな声で「魔法使いの美少女はこのジオン・サルディーラの保護下にある、他のメンバーを返すならよし、返さないならこちらから乗り込んでやる」
「何を言うゾナ、このアマ」
チムチムがチムナターの胸ぐらをつかんだ。
「決断がつかなかったみたいですから」
小指で耳を掃除しながら揺らされる。
「その魔女っ子、ヤツらに引き渡すニャン」
「イヤです」手近な柱にしがみついた。
サムライは回復薬を飲むと800万の神々の1人、武士に信仰されているハチマンの
陰陽師はカマイタチを召喚し、忍者は分身の術を唱えて3体ほど増やした。
青人はアナスタシア大陸東南部の巨大な細菌地帯を根城にする、各種獣人達とも覇権を争っている。
青人が棲息する胞子地帯を袋猫以外の人間は生きられないが、青人は布一枚て口を覆い平然と歩き回る。毒耐性に強く、致死量のヒソの入った水を平然と飲み、30分近く潜っていられる。
極めつけは体内に蟲を飼っていて、肉体を再生したり、追加触手として攻撃したり、甲蟲を打ち出したり独特の体術や戦闘法を使う。
メリルとマルスとルナは戦力にならないし、病み上がりのエルザを戦力として換算していいのか、そもそもチムナターはどうなんだ。
巨大な魔力を持っているがエリクサ・ポーションで回復するのは一般魔法使いの一人前分か半人前分だ。
先程魔力が空になった発言していた。
どの程度戦力として計算できるのか。
「私、魔法の杖取られたんで、何か貸してください。
このままでは戦力になりません」
両手で杖をおねだりする。
ジオンは宝石が浮いている、錫杖をアポートでアイテムボックスから引き寄せると無造作におねだりする手の上に置いた。
「なんです。
コレ。
凄い。
魔力がみなぎってくる
アーティファクト、いやオパーツか何か」
「カステラヤ魔法王国でゴッズ級と分類されていた。
宝物庫から高価そうなアイテム適当にもらってきた。
価値については良く知らん物も多い」
「ゴッズ・アイテム・チェルノブイリ。
略してGIC。
良く我が召喚に答えた」
股に挟んでほほずりしている。
カブトムシが窓ガラスを叩き割った。
茶色の実が投げ込まれる。
地面で弾けて胞子が散布される。
「吸うな、毒だ。
火を使うな、粉塵爆発する。
倭寇に火薬兵器を使わせない、青人の手だ。
とりあえず外に出る。俺に続け」
チムチムとルナが、ダッキとエルザがそれぞれ窓から飛び出した。
「チムナター。メリルとマルスを守ってくれ」
ジオンは玄関から脱出した、メリル、マルス、チムナターと続く。
サムライが鉄砲を構えていたが、ダッキが狐火で暴発させた。
分身の術をかけた忍者がクナイを放つが、ジオンが目をつぶり本物だけを叩き落とす。
「心眼か」サムライがうめく。
陰陽師が弓を引いて術式を展開する。
チムナターが防御フィールドを唱える。チムナター、メリル、マルスの2人と1匹はピンク色の光の結界に包まれる。
カブトムシが接触したら、潰され燃え尽きた。
チムチムが襲ってきたカマイタチを闘技で叩きつぶした。
「チムチム。上を頼む」
「心得たゾナ」
バランスをとりながら棍を伸ばし屋根に飛び乗った。
「
陰陽師が矢を放った時、気流が乱れ、矢は壁へと突き刺さる。
何か物の怪が仕込んでいたらしく、甲高い唸り声をあげてブルブル震えている。
エルザが自分を起点に円錐状につたをはわせた。
足にからみつく程度だがそれでも全体攻撃。
忍者の分身体全てに絡みつき煙と共に消えた。
チムチムが棍を鞭に変化させ屋上の出っ張りをエンタングルする。
2体の幻獣。飛行タイプと4つ足タイプに挟まれてチャイナドレスの宝石人・ユウリンが槍を肩にかけて体育すわりをしている。
チムチムが屋根につくとスクリと立ち上がった。
槍でチムチムを指差すと4つ足タイプの幻獣が襲ってくる。
チムチムは手の間にエネルギーを貯めて、丸い球体を作り打ち出した。
近距離で炸裂して4つ足の幻獣は2階から落ちて行く、
「魔闘技か、一度戦って見たかった」
槍を構えた。
一階ではメリルとルナが蟲使いへと移動する。
忍者が指から鉄の糸をだしてからみつくツタを切断した。
「メリル、ルナ、無理をするな。
忍者の鉄鋼糸は触れる者は切断する。
チムナター魔法で対処してくれ」
エルザが拳を握り、親指で植物の種子を弾いた。
蟲使いの腹部に刺さると、ミルミル成長して、肉体内部に根をはり、ツタは蟲達へとからまった。
防御魔法を受けたメリルが斧で蟲使いを攻撃したが空振りした。
背中から追加攻撃してくるムカデをルナのブーメランが頭をかち割った。
「雷ょ」
チムナターが触媒もなしに落雷の
忍者に雷が落ち、黒焦げになって倒れた。
陰陽師が呪符をトランプのようにグルリと回して用意したがダッキの狐火がことごとくもやす。
サムライが左手の手甲を横にして、刀を上にして構えた。
「牙突」か、ジオンが上段に構えた。
戦場の剣。
左手で受け、鎧の継ぎ目を狙う。
コイツ知ってる。
ツタを引き抜き、ちぎりながら駆け出す。
ジオンも駆け出す。
「秘剣・兜割り」
ジオンの業物が左手を切り落とし、兜を叩き割った。
死ぬ間際、コイツ技で切った。
それだけを理解することができた。
「俺とやり合いたければ、奥義の三段突きぐらい極めてこい」
チムチムも棍を構えた。
ユウリンも槍を構えた。
ユウリンが先に動く。
神速の突きを棒高跳びの要領でかわし、蹴りを放つ。
ユウリンも左の手甲でガードする。
魔闘技が炸裂すると同時に、気功による防御を行う。交点を軸に球体の外側の瓦がはじけ飛ぶ。
「初めて見て、かわすとはさすがゾナ」
「少し本気になるか」
槍先に鈴とボンボンをつけた。
「待ってくれ、俺たちはその魔女っ子を連れてくるように頼まれただけだ。幫のために生命をかけるつもりはない。見逃してくれ」
周囲を狐火に囲まれた陰陽師が言ってきた。
「倭寇崩れか、どこへでも行け」
ジオンが血振り納刀する。
ダッキが狐火を消した。
エルザが青人を緩めた。
忍者は丸太に化けていた、変わり身の術を使って早々に逃げた。
「大した友情だなぁ」
チムナターが答えた。
「大分旗色が悪い様じゃが、まだ続けるゾナ?」
「ぬかせ、当たり前だ」
シャンシャンと鐘が強い鈴音をさせた。
槍先を回した。
ボンボンも重なって見にくくなる。
槍先が三重に見えた時、突きが襲いかかる。
「クッ」
避けそこない左の乳房に刺さった。
「爆」
気を込めると共に左のオッパイが爆発する。
「グアァ」
チムチムが左のオッパイを後方にとび崩れる。
「チムチムがやられたニャン」
屋根を見ていたルナが叫んだ。
アポートでアイテムボックスから飛行靴を取り出してメリルに投げた。
メリルが受け取ると「靴の履き方はわかるな?治癒の指輪でチムチムの治療してくれ、歩く要領で空中歩行ができる
ダッキ。
後は任せた」
「
ジオンの目の前に3メートルぐらいの土の柱が登った。
「
トランポリンの要領と打撃の靴を使い、柱一段蹴るだけで屋根に到達する。
ジオンが倒れたチムチムとユウリンの間に入る
「チムチム、無事か」
「オッパイが、俺のオッパイが」
支離滅裂なことをいうし、止血も出来ていない。
コレは重傷だ。
「巨乳を見るとつい爆発させたくなるのだ」
槍を構えてユウリンが笑った
「あまり良い趣味とはいえんな。嫉妬は醜い感情だぞ」
「ぬかせ、持てる物は持たざる者の気持ちなど分からん」
「人道としての謙虚さ、仏の慈悲、神の愛を意識した方が強くなれるぞ」
「人としてか、興味ないね」
槍を繰り出した。
「武道家としてではない、武術家としてだ」
繰り出された槍先を一発で掴むとユウリンの身体はフワリと舞い上がった。
合気投げ。
姿勢を制御すると空中て回転して2本足で着地しようとするがジオンは槍を回転させてユウリンの足元に放ち、着地する瞬間槍がからまり転ぶ。
「グハ」
地面に倒れ込み顔面が強打するのを両手で守った。
メリルが屋根に上がってきて、魔法の回復指輪で回復する。
「ダメ、私程度の魔力では全然回復しない」
「とりあえず、止血してくれればいい」
「貴様、許さんぞ」
起き上がり槍を構える。
「格付けなら終わった。逃げ帰るなら今の内だ」
「ぬかせ」
ジオンが動いた。
敵の動きをわずかに先読みして対応する。
それが宝石人の強さを支えてきた。
居合がくる
分かっているが避けられない、受けられない。
神速の剣。
ざくり。
ユウリンのお腹に刺さる。
引き抜き、血振り納刀。
ユウリンが血塗られたお腹を押さえる。
「貴様、子宮を切ったなあ」
「気功で臓器までは治せまい。早く家に帰って白魔法で治療を受けるといい」
震えながらユウリンは飛行タイプの幻獣にたどり着くとやっとこさ乗って舞い上がる。
下では青人と陰陽師がサムライを両脇に挟んで連れて帰る、戦場のように死神がついているわけではないから蘇生を試みる気か。
「チムチム。無事か?」
「痛い、痛い」
爆発したオッパイを押さえた。
メリルがなんとか止血している状態。
アイテムボックスからアポートでキュア・シリアル・ポーションを取り出した。
臓器や手足の欠損、眼玉や歯の再生に使う。
ジオンは服をめくった。
チムチムはノーパンノーブラである。
傷口をメリルの淡い光の魔法が覆って止血している。
ジオンがポーションをかけると白い光の乳房と乳首があらわれ再生する。
苦痛でゆがんだチムチムの顔がミルミル解放されていく。
出来たての乳首を左右にはじいてから、親指と人差し指でつまんだ。
「ああ、ダメ、感じちゃう」
ラゴンの女型は旧支配者の愛玩用で、肉球をプニプニされるだけ感じてくる。
「おお、立ってきた、大丈夫かな」
乳首をはなした。
「ああああん。ジオン」
チムチムがジオンに抱きついた。
「何、発情しているの」
メリルが二人を引き裂いた。
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